破壊ランナー

あれは幻か?妄想か?
いや紛れもないあれは現実だ。

だとしたら伝説だ。俺たちは伝説を見た。
ソニックランの歴史、
人類の歴史の1ページが塗り替えられた、
その伝説を。


俺たちの!!!チャンプ!!!!!
豹二郎ダイアモンド!!!!!!!!




──みたいなことをリッチモンド財団経営の居酒屋(バーではなく)でジョッキ片手に興奮状態で一晩中まくし立てて泣いたり笑ったりしてるんじゃないかなぁと思うんですよ。あの音速のレース、2707年のワールドシリーズ終戦、アトランティック・サーキットの伝説を目の当たりにした観戦者たちは。
あんなレースを見せられたらそりゃ総立ちになりますよ。あんなに美しい光景、誰かに語りたくもなる。
そして2017年の破壊ランナーを観劇…いや観戦した私もまた、同じような興奮と疲労感に包まれて会場を後にすることになって。
そしてこうしてつらつらと言葉を連ねている。
丁寧な舞台写真入りレポはもう存在するので『破壊ランナー』とはなんぞやという方にはそちら(観劇予報 : 池田純矢ら20名のレーサーが音速を超えて躍動する!『破壊ランナー』ついに開幕!)をご覧頂くとして、思わず伝説を語りたくなった観戦者のうわごとをここに記すことにする。


不朽の名作を、演劇界の伝説を、この2017年にナマで観られる幸運に感謝。




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hakai-runner.com

あらすじ

──西暦2700年。
生身の人間による音速レース「ソニックラン」、8年連続のワールド・チャンプ、前代未聞の99連勝中のチャンピオン・豹二郎ダイアモンドは苦悩していた。
1.71音速という理論的限界を達成してすでに数年が経ち、もうこれ以上走る意味を見つけられない。そんな彼の前に理論値を超え、1.75音速で走る前代未聞の新人ランナー・ライデンが現れた。
それは豹二郎にとって、絶望なのか、それとも希望なのか?
答えのでないまま再起不能の大怪我を負った彼は奇蹟のカムバックを信じ、たったひとり、マンハッタン遺跡の砂漠でトレーニングを開始した。
果たして豹二郎ダイアモンドは復活し、自分の力で限界を超えることができるのか?
ライデンが1.75音速を超えることのできた秘密とはなんなのか?
人類の可能性を掛けた灼熱の戦いが、
今、サーキットの上で始まろうとしていた──





以下、バレありです。
4/22(土)ソワレ観劇。


今回の改稿はシンプルなものになった、というシャトナーさんのツイートを目にしてとても楽しみにしていたんだけど、実際に目にしたそれは色々なものが研ぎ澄まされた、しかし紛れもない『破壊ランナー』だった。

好き。
すごく好きです。
シャトナー作品の再演は同じものを再現するのではなく、過去の上演の続き。
稽古場で、あれを試してみよう、こう変えてみようと試行錯誤するのと同じように、その上演の度に脚本に手が加えられ、それによって見えてくる関係性も変わる。

5回目の上演となる今回はオールメール……全員男性キャスト。
ピスタチオ版、および2012年版(つまりこれまでの4回全て)において豹二郎ダイアモンドとヒロインであるリンコ・スカイウィングの関係性は『恋人』だった。今作では男性の“リコ”となり、『師匠と弟子』という絆を強く感じた。
それは豹二郎よりも幾分と長身の男性であり、落ち着いた(あるいは達観した)雰囲気を漂わせる村田充という役者による存在感が大きいのだと思う。
豹二郎にソニックランを教えた、かつてのワールドチャンピオン。一度は超えたその壁を、機械化手術を受けて再び立ちはだかった壁を、彼を救うために必死で走った豹二郎は破壊して、そして遥か彼方へと去って行った。

リンコが男性版の破壊ランナーは実は以前にも観ていて、2014年に関西の劇団patchが上演した(惑星ピスタチオの所属だった末満健一による潤色脚本・演出)(このために日帰り弾丸遠征した)際には、豹二郎の親友、スガタ・ハイウィンドとして描かれていた。これはきっと、まだ劇団を結成して2年の若手俳優たちで演じるからというのはあったのだろうけど、その記憶を呼び覚ましてみても、描き方でこうも印象が違うのかと驚いた。(その若さと勢いがまた良かったなぁと満足していたので未だに円盤が出なかったことが残念である)(主演の竹下健人くんが髪型を腹筋さんの豹二郎と同じ矢印カットにしていてすげぇ…意気込みが違うぜ……と息を呑んだ記憶)(なお本日Patch結成5周年、おめでとうございます!)


これが現実になって嬉しい。
確かに違ってた。



嬉しいといえば。
黒川フランク。不気味な妖艶なプロソニックランチーム「AROI」のオーナー。兼崎フランクはほんっとねちっこくて最高に黒川フランクでしたね!!!これよ、これぞ黒川フランク。ひと月前までペダステで銅橋やってたとは思えない変身ぶりで、役者ってほんとすごいわ……
そしてその上司を演じたのがこれまでの全ての黒川フランクを演じてきた保村大和さんで。あぁまた大和さんのスタンプぺったん、スタンプぺったん、ラララララ〜♪が聞けるとは思わなかった。レースに参加はしないだろうからまぁ出るならここしかないとは思っていたけど。ありがとうタイベリアス提督。ありがとう中央防衛局。ありがとう中央郵便局。
(ところで稽古場動画で言ってた「アタシいつまで分岐点にいればいいの」が今めっちゃ気になっている)
中央郵便局新人(トゲトゲ)として無茶振られた宮下さんのキレッキレのスタンプぺったんも最高だった。なにあれ(褒めてる)
なおこのアドリブシーンはこの作品の伝統ていうか鉄板だと思ってほしい。かつては佐々木蔵之介がスパイクをやっていたのだよ(今でも落ち込んだ時に観ると元気が出る)
ライデンがたー様と聞いてランニングフォームの美しさはもう間違いないと踏んでいたけれど、実際に走っている様子をこの目で見て惚れ惚れした。リッチモンド三兄弟の乱れのない動きがかっこよかったな~一族増えすぎてて笑った。
そして天羽君のしなやかで強靭な動きをするピラニア。ピラニアで天羽君のキャスティングなら絶対バレエの要素が入るだろうと思っていたのでその美しい動作を昨年の飛龍小学校に続いて見られて嬉しかった。今回の改稿で背景も深く掘り下げられていて、彼の悲しき運命を少しクスッとさせる手法で描いたのはさすがだなぁ。
ドルビーとダイクス、ランナーではないエンジニアの彼らにも矜持があって。
これまでの解説は早井速三ひとりだったのに、今回はC3-9000というライバルも加わって、最終的に人間とロボットの熱い友情が描かれるのもぐっときた。あの大量の早口台詞、ほんと大変ですよね……


「太古の人類が神々の前で速さを競う祭壇のようなスタジアム」とオーダーされたという八百屋舞台以外に明確なセットもなく、小道具もない。それでもなおあの世界にぐっと入り込んでいける。
群唱で「あぁこれよ……」と感極まり、クラウチングスタートからのレーススタート、そして音速走行への突入……そこから繰り広げられる熱いレース。私はあの一連のオープニングが大好きなんだ。美しい。ドキドキと胸が高鳴る。
そしてまた照明がこれでもかと美しい。美しさの暴力だ。かかる音楽が心と身体を震わせる。肉体を駆使した役者たちの渾身の演技。
細かな部分が変わっても、本質は変わらない。
初演は24年も前の作品なのに今でもこんなに楽しめる。

はーーーーーー……
今年の破壊ランナーも最高でした。

是非、劇場で、生で、自分の目で、身体で、体験してほしい舞台です。
パンフのお写真めっっっっっちゃぐっとくるしサーキットコース図と解説ついてくるし群唱載ってるし至れり尽くせりでやばいので是非買って。あと8月に円盤発売するのでどーーーしても都合つかない方はそちらで伝説を目にしてほしい。
4/30まで、Zeppブルーシアター六本木です!!!!
当日券あります!たぶん結構余裕です!!!!!悲しい!!!!!!


youtu.be




(ところで制作の方…聞こえますか……あなたの心に直接問いかけています……先行で全景席を売るのです……確実に席を取りたいけれど初見はかぶりつきの最前方より全景で観たいのです……あえてそういう選択肢を増やしていただけないか…御一考をお願いします……)


あと公演中にキャストから2人もご結婚の話題が出てとてもとてもめでたいのだけど、2人目は特に配慮も何もないすっぱ抜きでさらに平日唯一のマチソワだってのに本番前に囲み取材に応じなきゃならんとかは~~~~~~くそか~~~~~~ってもやもやしてしまうから報道する側はやめろください。
鎌苅さん、みつぅさん、ご結婚おめでとうございます。