眠る回遊魚

溢れるパッションを記録する場所

劇団壱劇屋『Pickaroon!』

 

f:id:hal_8:20190728224855j:image

f:id:hal_8:20190728224859j:image

あらすじ

記憶を失くした私のたったひとつの手掛かり。
傍に落ちていた7冊の日記。
少女と七人の盗賊が描かれたそれは、
私のこれまでの人生が詰まった物語。
かつて“お姫”と呼ばれていた私。
ページに残るは、想い出の言葉たち。
記憶の欠片を抱き締めて、私は旅に出る。

 

出演

岡村圭輔
柏木明日香
小林嵩平
竹村晋太朗
谷美幸
西分綾香
丹羽愛美
長谷川桂太
日置翼
藤島望
松田康平
山本貴大
(以上、劇団壱劇屋)

竹下健人(劇団Patch
立花明依
池未来実
池ヶ谷明杜
石黒さくら
豊田真丸
西辰蔵
御歌頭(墨絵師)

 

stage.corich.jp

 

youtu.be


7/26(金) 19:00回観劇

生で観るのは初めての壱劇屋さん!
6/22の無料配信で観たwordless舞台『独鬼』が大っっっ変良くて、もうこれでもかとだばだばに泣いて、その勢いでチケットを取りました。その選択に間違いはなかった……!!!
今作『ピカルーン』はwordlessではなくて台詞のある殺陣芝居。それでも物語の根底にあるものは同じだったな……「いいものを観た!」そう素直に言える作品でした。
池袋はなんだかんだよく劇場に通っているけどシアターグリーンも初めてだった。初めての劇場で、初めてナマ観劇する壱劇屋さん。いい出会いだったし、このご縁は今後も大切にしたいと思いました。


あらすじの時点で予感はしてたんですけどまんまと疑似家族特攻がキマりましたね。はい。えぇ、私、疑似家族がめちゃくちゃ大好きなんですよ。最高でした。

本来、ただの敵同士だった七賊。天子様の宝を狙ってたまたまそこに居合わせた盗賊たちが、ただの他人同士の寄り合いが、か弱き赤子のもとにひとつになる。その笑顔を守るために。その成長を見届けるために。
泣くかなと思ったけど、最後までずっと笑顔で観ていられました。いやなんか泣いてる暇がないというかね……もう楽しくて楽しくて。こう来てほしいなという展開が来てくれる王道感。息もつかせぬアクションに次ぐアクション。
御姫の純粋さ。覚悟を決めた盗賊たち。立ちはだかる敵にも魅力があって。アクションモブの仕事ぶりも素晴らしい。


少年漫画で言ったらこれ、めちゃくちゃ熱い36P一挙掲載!みたいな読み切りだと思うんですよね。漫画雑誌のあのガサガサした、たまにインクが擦れて指につくような再生紙をめくる度にワクワクする感覚。もちろんこれだけでも十分に熱い物語なんだけど、続きが見たい!また彼らに会いたい!と思わせてくれる。過去も知りたいし、スピンオフだって欲しい!!!!

きっと連載が始まる時は御姫が異国で新しい仲間に出会ってこれから家族を取り戻しに行くんだ!ってとこから始まるわけですよ。連載版では新しい仲間との会話きっかけにちょっとずつ回想入る形になってるし、仲間たちに助けられながら辿り着いた場所で「力石さん、助けに来たよ…!」「……御姫?」なんてシーンが見開きドーン!てあるんですよ!オタクにはもう"""見え"""てるんですよ!!!!(※妄想です)


うぅ、台本買えば良かったなあ。とりあえずクラウドファンディングで課金します。円盤販売予定がないらしいので映像はここでしか手に入らないぞ……!

motion-gallery.net


大阪の劇団が東京でも上演してくれる、それはとてもありがたいことです。東京は東京で数多の作品が上演されているけれど、壱劇屋のこの『ピカルーン!』は今この時にしか上演していないのだ!

御姫と!七賊に会えるのは!
7/29(月)まで!!
池袋シアターグリーンの一番右!BIG TREE THEATERにて!!!

ちょっとでも気になった人には是非とも、彼らの物語に出会ってほしい!!!!
そして私とこの燃えと萌えを共有してくれ!!!

 

 

各キャラ感想とかはまた改めて。
千秋楽に"""間に合う"""人が1人でもいればいいなぁ!

 

 

 

【8/5 追記 各キャラ感想】

あっという間に東京公演も終わってしまった……!全公演お疲れ様でした!!

以下、本編に触れたり妄想成分も多めに混じった感想です。オタクなのですまんな……(ゲンドウ

 

壱劇屋流殺陣芝居ではお馴染みとなりつつある、「映画ならCGが使用されているであろう演出を人力で表現する」=「人間CG」も随所に登場。演劇だからこそ実現できるものを、映像にも負けない迫力で舞台上に顕在させる。

壱劇屋さんのこの演出手法がとっても私に合ってたなぁ〜というのがまず率直な感想。あんまり映像多用してる舞台は得意ではないというか……もちろん効果的な演出であれば楽しめるのだけど。

西田シャトナー作品に親しんでいることもあり、伊武の変容シーンとか、紙研の操る無数の紙の動きとか、ただのセットの階段がアクションの手によって縦横無尽に動き回り時には処刑台になったりするとか……あれらがとても肌に馴染むのである。

役者の身体表現・演技力×観客の想像力で無限の可能性を広げ、作り上げられる舞台……そういう作品とっても好きなんですよ。


BGMでFGOの曲使われててびっくりしたな〜〜〜〜!びっくりしすぎて曲に意識がいってしまってそのシーンの台詞よく覚えてないので不覚オブ不覚。いや〜あまりにも聞き覚えのある曲だったもんで……(最近ログイン途切れてるけど)

全公演終了したということは★5七賊ピックアップくるんじゃないですか?ラスト、あの流れですよ?絶対課金するしかないじゃん???

力石:セイバー、由良:アーチャー、角:アサシン、飛:アヴェンジャー、伊武:キャスター、紙研:ランサー、男虎:バーサーカー

こうかな……?(※FGOしかやってないにわかの発想。異論は認める)

 

 

・御姫(池 未来実)

可愛い〜〜〜〜〜!!!!!みんなのアイドル、みんなの娘、みんなの宝物!みんながメロメロになっちゃうのも頷ける。

14歳、初舞台の池さん、初々しかった。カテコで袖にはける時に毎回客席に向かってぺこっと一礼するのがまた礼儀正しい御姫らしいし可愛いなぁってにこにこしちゃったね。

みんなに愛されて守られた御姫。私にはすでに御姫が異国で新たな仲間と出会い、成長して、「今度はわたしが助ける番!」って家族を取り戻しに行く物語が見えているし、一人一人に再会するシーンも目に浮かんでいるんですよ……(ろくろ)

御姫はそのうち物書きになって彼らの活躍を後世に残したりしてくれたらいいなぁ。そしたら英霊化して七賊ピックアップも夢じゃないよ!!!(夢だよ)

 

 

・義賊の力石(竹下健人)

義賊!やらない善よりやる偽善、とは言うものの。そんなの裏切られるフラグじゃん……!とひしひしと感じていたわけだが……彼は優しいんだよなぁ……自らが手を差し伸べて慕われた民衆に恨まれ、追い詰められ、ついには御姫のために自ら手にかける……由良とぎゃーぎゃーやってるのも微笑ましいし、まっすぐな健人くんの笑顔が眩しいもんだから、後半の辛そうな表情とその序盤との対比がまた切なくなるんだよな。

どうにか生き延びててほしいし、御姫が異国で出会った新キャラ(同じ年頃の少年)連れて戻ってきたら「お前誰だ?うちの御姫に手ェ出してねぇだろうなァ〜〜〜〜ァァン?」て親バカやってほしい(七賊と再会する度にやるお約束)

 

 

・牙爆の由良(山本貴大)

死に際がとてつもなく格好良くて惚れる。いや、まだ死んでませんけど。死んだという明確な描写はないですけど!!!!(オタクは行間を都合よく解釈する生き物なのである)

とにかく死に様が格好良いということはその生き様が格好良いということなのだ……(ろくろ)

マスクもゴツいし言葉も荒い、でも本当は優しいし気のいい兄ちゃん。御姫にプレゼント買う時の喧嘩する親バカたちかわいい。

炎の表現が良いですよね。暗い舞台であの赤い布が舞うの、一際鮮やかで美しかった。

生存してたら義足で……っていうあれ、是非とも死んだはずの佐久間(後述)と再び対峙して死に損ない対決して欲しいんだよなぁ〜〜〜〜〜!!!

 


・兄妹盗賊の陸上 角(小林嵩平)、陸上 飛(西分綾香)

角兄、とんだ歪んだ性癖の持ち主だけどまぁそもそも賊だしね!!そんなに都合良く改心して仲良し家族やってる奴らばかりではないというのが良い(集団生活の中ではちゃんとその欲を隠そうとする社会性もあるし)

中盤の色々を経ても角兄が最後に自分の得物を託すのが飛なの、なんだかんだでやっぱ愛してたし、信頼していたんだなって……飛ちゃんにとっては実妹を屠ったかもしれない角兄の得物。戦況は悪く、その片方がなければ残された角兄がどうなるかも分からない。それでも御姫と得物を託されて、彼女は逃げる。

飛ちゃんは最後に御姫を見送る時の笑顔で踊ってる姿が印象的。最後まで、御姫には笑顔を見せていた。敵の手がそこまで迫っているのに、無防備に……嫌な未来しか見えない。

それでも願わずにはいられない。生きてほしい。それは七賊たちが御姫に対して願ったのと同じこと。

 


百式変容の伊武(御歌頭)

いくつもの顔に、姿に、自在に変容する伊武。どの姿もキャラが濃くて楽しい。仮面を被れば本来の姿から離れたキャラにもなれるのはいつの時代も誰にでも有り得ることだろう。最近はほら……バ美肉とか?

けれど最後の最後に、もう誰にも変容できずに本来の姿で、ただただ御姫を逃がすために縋り付くように戦って。シャイな彼が心の底から叫んだ一言の重み。御姫の助けになることを願って使った筆。あぁなんとも健気すぎる……。゚(゚´ω`゚)゚。

私は私の筆で、続編があったら……などと願望を恥ずかしげもなく書く。物語はね、口にした瞬間から生まれるのよ(ろくろ)

 


・紙遣いの紙研(立花明依)

紙研さん……夢女大量製造機じゃん…………この美しさ、格好良さ、凛々しさ、そして儚さの前に屈服しない者など存在するだろうか。いやない(反語)

番傘の紙の有無の表現が視覚的にわかりやすくて実にバトル漫画っぽい。御姫の髪を梳きながら語るシーンとかもう絶対フラグじゃん……!(先の展開を予想して震える)なんだけど、最後に自分のことなんて顧みずに御姫に翼を与えて彼女を見上げる姿がさぁ〜〜〜〜〜ほんとうに最高じゃないですか〜〜〜〜〜……

他の賊は地に足着いた戦闘スタイルだけど、伊武と紙研だけはちょっと特別な能力ですよね。

番傘の紙が尽きたら手駒がなくなってしまうの、その紙は自分のMP?の具現化なのかなぁ。MP回復したら自然と番傘の紙も元通りになるのだろうか(さすがにいつ戦うかわからないのに呑気に一枚一枚自分で貼ったりはしないだろうとは思うのだが)

たちねぇさん、観劇日がちょうどお誕生日だったとのこと。おめでとうございました!!

 


・不動の男虎(竹村晋太郎)

虎ちゃん……!!!!!!!!

ほんともーーーーー佐久間様が非道なことするからーーーー!!!!本来の虎ちゃんは優しくて、きっともっとあの大きな身体でのんびりした口調で、ほわほわ笑顔を見せてくれるはずだったんだよぉ〜〜〜〜〜七賊の中の愛されゆるキャラじゃん……虎ちゃんにも御姫にもみんなにも辛い出来事だった……

それでもきちんと目と耳を解放して、自分の目と耳で真実を受け止めた虎ちゃん。御姫を守るために刀を抜いて戦って、ついには佐久間様を自害にまで追い込んだ。やっぱり強い。

御姫と再会して、七賊が揃って、今度こそ楽しい毎日を過ごしてほしい。そう願わずにはいられない。

虎ちゃんは戦闘モードに入るとがらっと目つきが変わって、その切り替えがすごかった。普段が不動だからこそのギャップ。好きだなぁ。

余談ですが竹村さんを初めて拝見したのは2017年の『安楽椅子探偵 ON STAGE』で(元々シリーズ好き、原作者のファン)、ようやくホームで、バリバリに殺陣をこなす姿を、丁寧に紡ぎ上げられた物語をこの身で体験することができて良かったです。

 


・佐久間(岡村圭輔)

非道だけどクレバーで、清々しいまでのザ・悪役!いや〜〜〜〜〜本当に素敵でした佐久間様!!憎めない軽妙な語り口、小ざっぱりした性格。めちゃくちゃいいキャラだと思います。

私は勝又くんめっちゃ好きですけど、その有能な勝又くんをなんの躊躇いもなく殺す選択をするところが良いですね。好きですよ。でも「腹心の部下」って『どんなことでも打ち明けて相談できること。また、その人』(デジタル大辞泉より)だぞ???(キャラ紹介ツイを振り返りながら)

あとその選択をする佐久間様は好きだけど、生かしておいた方が戦力的な意味でも大きかったと思うんだよな。自分で殺しておいて後でうっかり「ねぇ勝又くん」って声かけちゃうのとか。それだけ片腕として重宝していたんだとわかる。佐久間様は実に合理的だけど、時には判断を誤ることもあるという、人間らしさものぞかせたシーンだったな。

それと実体なき天子様を作り上げてまで民衆を統治し『国』を治めようという意思があるところ、好きです。貨幣の流通を制御して官は潤い民は貧しくなってるけど、佐久間様、自分がただ贅沢したいからそうしてるわけではなさそうじゃないですか。彼もまたシステムの一部みたいな。多分そんなに興味はないし固執してないんだと思うんですよね、有能だからやるけど。

国の創成時からの秘密、非実在天子様。よほど争乱の世でこの国の歴史が浅い=非実在天子様一代目なのか、はたまたこの秘密が何世代にもわたり受け継がれているのか……個人的にはシステムの一部と考えるなら後者だとワクワクするんだけど、歴代執政官のみ知る秘密だと引き継ぎは難しいだろうか。突然の暗殺とかありそうだし。自分の器を見極めて自ら天子の座に就くのではなく、非実在天子様を置いた上で執政官に徹することを決めた佐久間様エピがあったらそれはそれでたまらないんだなぁ。

由良の自爆攻撃から生還するしぶとさ。かと思えば男虎との戦いで自身との差を感じ取って潔く自害するところ。……好きしかないな?

続編があるならばそんな潔く自害したはずの佐久間様が半分機械状態で無理やり生かされて、新しい悪役の傀儡となって(かつての自身の所業の因果応報)その潔かった姿を踏みにじられる様が見たい……

 


・勝又(藤島 望)

とっても鼻が効く(物理)有能な部下!その嗅覚を活かした諜報活動、単身で敵陣に乗り込む勇ましさ。得物かっこいい〜〜〜〜〜!!!銃剣とかテンション上がるじゃん!!!!!

聡明でいて、上司に似て?ちょっとお茶目にずけずけ物言いする強気な部分があるかと思えば「天子様は存在するんですよね……?」って縋るように表情を歪ませていたのが印象に残っていて。彼女もまたその存在を拠り所として生きていたのかな。

ずっとお仕えします、と告げた佐久間様に呆気なく殺されてしまったの惜しいけど、佐久間様の所業を知って尚そう言えるほどの信念を持っていたわけで。嗅覚が人並外れて鋭いという特性に目をつけた佐久間様が、なんか有能な子供がいるじゃ〜んってほんのちょっと目をかけてあげたら勝手にすくすく育って恩を感じてるとか、そういう過去エピとかありますかね。ください。

お茶目だけどクレバーな上司+ずけずけ物言うけど聡明で従順な部下の組み合わせ、好きしかない……

伊武さんが死んだ勝又の姿借りて戦うのほんと趣味悪くて最高だったな〜〜〜〜〜!死して尚ああいう形で出番があるのいいな。


国家権力チームのお衣装がなかなかにワイルド(毛皮とか)なの、野蛮!!!て感じで好き。植田さんのお衣装、各キャラに合ってて、舞台映えもして、本当に素敵でした!


役者と物語と衣装と音楽と照明と制作と……各セクションがプロのお仕事をしてくれて、『ピカルーン!』は本当に素敵な作品でした。改めて皆さんお疲れ様でした!

また壱劇屋さん観に行きます!!