眠る回遊魚

溢れるパッションを記録する場所

もしカラ 1部レポ


https://ousama-jungle.wixsite.com/moshikara/

声優 児玉卓也プロデュース
カラオケイベント開催

カラオケは老若男女に愛される娯楽。
そんなとあるカラオケボックスの一室をちょっと覗いてみませんか?





推し……
カラオケイベントに
出ないか……?

まずはともカラとか?カラオケMAXとか?男子力みたいにカラオケコーナーあるイベントでもいいけど……や、でもやっぱどうせならがっつり聴きたいよな……声優という職業がキャラクターに声という命を吹き込む、本来ならば裏方の仕事であるとは重々承知の上で、しかし本人のその歌唱力と表現力をキャラクターを通さずに浴びる機会はないものか……(まぁスタダさんだし何年後かにはアーティストデビューの可能性もあるかもしれんが……)なんてことをずっと考えていたので、まさかの児玉卓也プロデュースでカラオケイベントに出演、しかも伊瀬結陸の名もある!!???と狂喜乱舞したオタク、10年ぶりに飛行機に乗って10年ぶりに福岡に遠征するの巻。小倉は初めて。うりゃお&みやたん王ジャンには参加できなかったのでプチリベンジ?もできました。
企画してくれたまりあ、かけあってくれた尾木プロのマネさん、そして実現してくれたジャングル運営さん、関係者の皆様、逸れてくれた台風、本当にありがとうございます……

というわけで、1部のみですがレポです。
 
⚠️ 注意 ⚠️
※幻覚、主観多め!
※でも幻覚はひとつでも多い方が強い!の気持ちで、ニュアンスで汲み取ってください。
※流れが前後してるところあるかも。


とりあえず一旦公開しました。
記憶が残ってる内に描いておきたいイラストや、その他思い出したことを順次追加すると思います。



        ◆ ◆ ◆
 


Takuya Kodama Produce.
もしカラ〜もしもこのメンバーでカラオケに行ったとしたら〜

2022/09/03 福岡・小倉
あるあるCity7階イベントホール
出演者:児玉卓也、宮﨑雅也、伊瀬結陸

第1部 バンドグループ曲縛り🎤
第2部 VOCALOID曲縛り





◆前説映像

15分ほど開演が押す。

事前案内の通り、本来は開演5分前に流れるはずだったと思われる前説映像がようやく流れる。
白壁背景、1人用革張りソファ、イベ当日と同じオレンジパーカーのまりあが登場する。

──もしカラチャンネルをご覧の皆さんこんにちは〜!司会の児玉卓也です。

DAMチャンネルパロディ。
児玉卓也プロデュースイベント、なるほどな……する。もうこの時点で面白い。

──(中略)ではゲストの児玉卓也さん、伊瀬結陸さん、宮﨑雅也さんどうぞ〜!

別映像に切り替わる。
グッズのお写真撮影現場にて3人が並んで座っている。
左から児玉・宮﨑・伊瀬。


(同じ時に撮ったんだろうな、の参考映像)

──ゲストの皆さんに質問していきたいんですけれども。今回バンドグループ曲縛りということで、皆さんはバンドをやるなら何を担当したいですか?では、宮﨑さんから。

「えー、キーボードですね」

──お、それはどうして?(身を乗り出す)

(別撮り映像でのレスポンス)
(この茶番嫌いじゃない)

「なんというか、高貴な感じで……」
「高貴?笑 キーボードって高貴かなぁ。ピアノだったらわかるけど……」
「あ、じゃあピアノで。グランドピアノだったらどうですか」
「グランドピアノいいね。グランドピアノなら確かに、高貴な感じがね」

──はいそうですね、ありがとうございますー(別撮りだなとわかる感じのぶった切り)では伊瀬さんはどうですか?

「僕は……キーボードですね。高貴な感じがするので」
「高貴?キーボードだよ?(半笑い)」
みやたんの肩に恐る恐る手を伸ばすいせゆ「…………撮り直す?」
3人爆笑
司会に振られてないまりあ「僕はキーボードですね」

──あ、児玉さんは大丈夫です〜

3人仲良く天丼した。
まりあはばっさり切られた。

──(中略)あと児玉さんへの注意なんですが、セクハラはやめていただいて〜……そういうのは裏で、はい、お願いしますー

3人からの注意事項。発声しない、マスク着用(ちゃんと鼻と口を覆ってますか?)など。
観客に向けてへのメッセージ。
前説映像終わり。


◆オープニングムービー

なんかめちゃくちゃいい感じのショットを繋げていい感じのムービーを作ってもらっていた(語彙)
顔が良……した。
素敵なお写真ありがとうございます……

◆登場

まず声だけが聞こえてくる。
「あっ今日200名くらいで予約した金剛寺ですけど〜……あ、もうみんな入ってる!?ねぇ、みんな先入ってるって。うわー遅刻だ〜」
茶番。
金剛寺ってミシェルくんか……と察する。

3人、下手から登場。
いせゆとみやたんペアルック(色違いシャツ)で会場のオタクに動揺走る。が、ここでは特に触れずに。
挨拶の段階でいせゆのピンマイクの調子がおかしい。
「これ逆じゃない?」
いせゆのピンマイクを付け直してあげることに。
距離の近さにヒュッ…とするオタクたちを見逃さないまりあからのありがたい忠告「はいすぐ口元に手ぇ当てない〜口じゃなくて目ぇ隠せ〜」

「で、どう?」
「もうちょっと……あと1時間くらい……」
「あと1時間!?」
すぐに付け直せました。


座る位置は下手から伊瀬・宮﨑・児玉の順。
二人掛けソファ×3、ローテーブル。

「今日はここ200名くらいいるんだけど、皆さん喉の調子が悪いとのことで、マスクして声出せないので、俺ら3人だけが歌うのを皆さん聴いてくれるそうです」
「こんなにいるのに」
「なんか普段のカラオケ覗かれてるみたいで不思議な感じするね」

「あ、今日の支払いは金剛寺ミシェルくんが持ってくれるから。200名分」
やっぱミシェルくんだったか〜した。

「2人はさぁ、一緒にカラオケとか行くの?」
顔を見合わせる2人。
「1回……?」
「うん……1回、だけ、行きました」
「え、何歌ったの?(興味津々)」
2人「…………?」
なんか記憶が曖昧そうだったので疑うまりあ「え……覚えてない?カラオケ行ったの嘘ではなく?」
「嘘ではないです!」
「この人、歌う曲めちゃくちゃ幅広いんですよ」
「えーそうなんだ?じゃあ演歌なんかも……」
「あ、演歌は嗜んでおりません」

「英語の歌を歌ってドヤったら、いせゆーが次に英語の歌入れてきて」
「あっ被せてきたんだ」
「そういうことやってました」


「ってかさ、服……お揃いだよね?」

よくぞ突っ込んでくれた……!
あの時、会場のオタクの気持ちはひとつになったと思うしみんなまりあに感謝したと思う(主語でか)

「そうなんですよー偶然(?)お揃いになって」
「真似しないでよぉ〜」
「真似してないし!」

「いちゃいちゃしないでくださーい」
(これこのタイミングだっけ?)

「え、てかズボンとかも似てない?」
「あぁー……言われてみれば?」
いせゆとみやたん2人とも自分の服を眺める。
「靴下の丈も同じくらいじゃない?」
「あー、このくらいの丈ね、流行ってるんですよ」
「そうなの!?」
「知らなぁい♡」
「……いいよそういうの、もっとやって(ニチャァ」

(しらんのかーい!)
て脳内に流れてきたのは確実に王ジャン大阪の影響だと思います。

みやたんはプロナイト(#367-368)でも着てたシャツなのでこの日のためにわざわざ買って揃えたわけではないというのは知ってるんですが(いせゆはガンダムの時に着てると後で知る)お揃いにした経緯が知りたい……
ワンチャン2部でお着替えして天﨑・大塚からのお下がりペアルックはあるかもしれないと思っていたのだが……まさかの1部からでオタクは大変動揺しました。

「(観客に向けて)あ、一回ちょっとみんな下向いてもらっていい?俺と同じくらいの歳だよ〜って人、手あげて」
客層確認を始める。
「お、結構いる。よかった〜」


◆ドリンク・フード注文

「全部金剛寺ミシェルくん持ちだから、じゃんじゃん頼みな」

ドリンクもフードもめちゃくちゃ種類がある(一部しか覚えてない)
・たこ焼き
・唐揚げ
・ポテト
・三日月屋のクロワッサン(6種)
  ・プレーン ・きなこ
  ・ココア あとなんだっけ?
揚子江の豚まん

・コーラ
・カルピス
ジンジャーエール
資さんうどんのつゆ
クエン酸ドリンク

真剣にメニューを眺めすぎて無言になるいせゆ・みや(ペアルックで同じ姿勢で2人とも画面見てるのが面白すぎる。双子か?)
それを眺めていたまりあ「(小声で2人に耳打ち)あの〜カラオケなんだけどさ、一応お仕事だから。無言はね、やめようね」
面白いので全然いいと思います。
でもそういうところ、まだまだイベントに慣れてない2人に対して児玉先輩って感じでなんかいいなと思いました。

「飲み物何にする?なんか明らかに普通のじゃないの2つあるけど笑 一番右下、罰ゲーム用じゃないの!?あとうどんのつゆは雅也くんのじゃない?」
流石ジャングルさんだなというラインナップ。
うどんつゆ飲む?と催促するまりあに「いや、カルピスで」固辞するみやたん。
「(うどんつゆは)後で喉カラッカラになったら飲も」

まりあ:コーラ
みやたん:カルピス
いせゆ:ジンジャーエール

「唐揚げとポテトとたこ焼きと肉まんと……クロワッサンのココア!」
「そんなに食べられる?笑 え、さっきイベント始まる前も食べてたよね?」
「食べてました……でも全然食べられますよ!!」

「じゃあ、ゆーりくんはどうする?」
「うーん……」
「クロワッサンとか美味しそうだよ」
「あ、じゃあ……クロワッサン」
「なんか種類めちゃくちゃあるけど」
「んー……ココアで」
あれ、じゃあココア2つ?みたいな感じでみやたんと顔を見合わせたりしていた。なんでそこもお揃いになるんだ。双子か(数分ぶり2度目)

注文はローテーブルの上の受話器を上げると呼び出し音のSEが鳴り、フロント(という想定)のスタッフさんの声が聞こえてくる仕様。手が込んでいる。

「2人はカラオケ中にフード食べる?」
「めちゃくちゃ食べます」
「僕、全然食べないんですよ」
「そうなんだ?」
「だから2人でカラオケ行った時、僕はさっさと頼んでトイレに立ったので、席を外してる間に注文任せていたので何頼んだのか知らなかったんですよ。店員さんが持ってきた量見て『あ、違います(手で制止)』って」
「他の部屋と間違えたと思ったんだ?笑 え、それどういう感じ?(再現しようと店員役、高い声で)お待たせしました、ご注文のフードです〜」
いせゆ反応なく、ちょっと間が空く。
「いや、もう、あの、部屋に入る前に『違います(手で制止)』って。なんならドアノブに手をかける前にしたので……」
「あ、あのドアのちょっと見えるとこからね!もう部屋にすら入れなかったんだ!?」
「違わないです〜!💦って追っかけました」
「覚えてる……(項垂れる)もうめちゃくちゃ恥ずかしかった……」
「俺の方が恥ずかしいよ……行かないでください〜!って店員さん追いかけるの」

「思い出したんですけど、その時も、たこ焼き……かな?頼んでたんですけど、20個ある内、僕が2個食べて、みやたん18個食べたんですよ。でも……割り勘だったんですよね笑 後から気付いたんですけど」
「ごめん。俺ね……そういうとこある(ショボンとした様子で)」
「や、食べなって言ったのは僕なんで、いいんですけど」
「そう……『いいのぉ!?やったー!パクッ』てめちゃくちゃ食べました笑」

いいのぉ!?やったー!のテンション高さが裏返る声に出ていて、パクッと食べる仕草もかわいかったですね……

「じゃあね、それを歌にしよう」
「歌……???」
戸惑う2人と観客をよそに即興ソングが始まる。♪Yeah〜Ah〜などのハミングから始まっていっぱい注文しちゃったみたいな歌詞?(うろ)
いせゆもハミングなど入れつつ、
「♪でも、支払い……割り勘だった〜」
「ほんと〜に……ごめんね♪」

「……ほんと2人仲良いよね?」
(これもこのタイミングかは忘れた)

◆いざ、カラオケパートへ

「誰から歌う?」
2人を見たあと元気よく挙手するまりあ→それを見てみやたんも挙手→2人していせゆを見る→流れを察して項垂れつつ、いせゆも挙手→どうぞどうぞ。
「ここはお若い人からね」

CITRUSDa-iCE
youtu.be

みやたんが「最初からそれぇ!?」みたいな反応をしていた。
KIKIのアンケートでもカラオケの十八番に挙げてた曲だもんな、と納得。
みやたんは男子力でも歌ってたし、4月のまりあ&みやたんの王ジャン大阪でも話題に出てた(2部登場時に2人で歌って登場するはずがまりあに裏切られてみやたんだけカッコつけて歌わされた)のでオタクにはなにかとお馴染みのCITRUS……
ものすごく個人的なことを言うと男子力CITRUSで「あっ、だめだ…………推します…………」とトドメを刺された経験があるのでこの曲には弱いんですよ……
いせゆのCITRUSもいつか聴いてみたいと思っていたのでそれが叶ってめちゃくちゃ嬉しい〜
伊瀬結陸として歌う初のお仕事、トップバッター、めちゃくちゃ緊張してると思うけど声とかには全然それが出ないの、さすがだなと思う。


セプテンバーさん/RADWIMPS
youtu.be

「9月はセプテンバーですからね!……あってる?よね?」
合ってるよ。
※RADに詳しくないので調べたんですが、この曲、9月3日にできたからこう名付けられたと噂もある様ですし、9月3日はRADが初めてワンマンやった記念日らしいし、この日(イベント開催はちょうど9月3日)歌うのにめちゃくちゃぴったりなんですね。日付まで考えて選曲した……のかはわからないですが(あってる?するあたりが)

歌唱中「♪OH セプテンバー、はい!」といきなり観客に向けてマイクを向けるみやたん。声が出せないのでペンラで反応。
歌唱後、満足そうに「一度コールアンドレスポンスがやりたかった……」と言っていたので、ご期待に添える結果だったならよかったです。
コロナ禍デビュー故にまだ一度もコーレスをしたことないんだもんな……こんなにも観客を楽しませようとしてくれる彼らに一刻も早く声を届けられる状況になりますようにと切実に願うしかない……


Revival/スキマスイッチ
youtu.be

「推しの曲入れるわ」と選曲。
途中まで普通に歌っていたが間奏中に解説が入る。
「(おっさんずラブの)聖地巡礼いったんだよね、ふみよしと」
「(歌わずにMV見て)ここぉ!これが見たくて入れた」
「最終回よかったよねぇ……(しみじみ)」

MV中のはるたんが映って「はるたぁん……!(もはや悲鳴)(両手で口元に手を当てる)」

まりあ、自由でいい……解説してて間奏明けの歌い出しに間に合わないとか、これぞ(オタクの)カラオケという感じで非常に親近感が持てる。
金剛寺ミシェルくんの話題からもしやと思っていたが、今日のふみよし情報も飛び出した。たすかる。


AMBITIOUS JAPAN!/TOKIO
youtu.be
※公式の動画がなさそうなのでJR音楽隊の動画にしました
JR東海のタイアップ曲だったため

「バンド曲だからね(ドヤ」
間違ってない。
「何歌おうかな〜って調べていく時にね、これ、ゆーりくんが生まれて1年後くらいに出た曲だって知って……(客席見て)今どよめいたの同年代だな〜?(ニチャァ」
スノースマイルがゆーりくんの生まれた1ヶ月後」
いやまじでこわいが。

「え、ゆーりくんはこの曲知ってる?」
「知ってます。んー……なんでだろ。それこそ歌った記憶もあるので、わざわざ覚えたんだと思います」
「自分が生まれた頃に出た曲とかも聴くの?」
「聴きます聴きます。生まれる前のもいくつか」


いせゆの選曲を確認してから選曲するみやたん。
「ん〜……しっとり系を先に」

インフェルノMrs. GREEN APPLE
youtu.be

「しっとり系って言わなかったっけ……?」
「あれ?聞き間違えたかもしれん。ダークな曲になっちゃった」
「みやたんお得意のね」

「ミセスさんならいくらでも歌える♪」


星になれたら/Mr.Children

music.apple.com
※公式の動画がなさそうなので。
※1992/12/01発売かぁ……

知らないミスチルだ!?と2人。
「さっきのAMBITIOUS JAPAN!じゃないですけど、それこそ僕が生まれる前の曲ですけど……」と選曲。
「親戚のおじさん……父の兄弟がミスチルさんが好きで、その人に影響受けました。遠方に住んでるんですけど、長期休みとかに会った時とか、車の中でかかってて覚えました」
「車の中の曲って覚えるよねぇ〜なんでだろね〜」
なんでだろねぇ〜

◆消費カロリー対決

「そろそろ普通に歌ってるだけじゃつまらないので、この辺でちょっと企画やりたいと思います。カラオケといえば……じゃないけど、歌ったら消費カロリーが画面に表示されるじゃない?それで対決したいと思うんだよね」

「正直さ、やろうと思えばいくらでも高くはできるじゃん?低いのはそんなにいかないと思うけど。(勝者判定)高い方にする?低い方にする?」
「真ん中とかどうですか」
「あー!いいね!」
「高いやつでも低くでもなく……」
「一番チキったやつが(クエン酸ドリンク)飲むのね。オッケー!」

注文。
クエン酸ドリンクお願いします〜」
フロントのスタッフさんによるご配慮あるいは悪魔の囁き「1杯でよろしいですか?」
「ん?ん〜……じゃあ2杯で」
2人「2杯!?」
「いや、とりあえずね、とりあえず。無理して2杯飲まなくてもいいし。あとで考えよ!」

「2人は酸っぱいのどう?得意?」
「得意……ではないです」
「全然ダメです」
「俺、梅干し系の酸っぱいのはダメなんですけど、レモン系ならいけます」
「ん〜……???どゆこと?」
「梅干しってこう……キュッ…(酸っぱい顔)で、レモンはこう……スッッ…パ!じゃないですか」
「ごめん何が違うの?梅干しはしょっぱいとかそういう?」
「いや、あの」
「あーもうわかんないわかんない!!!」

「えー、ゆーりくんは?」
「本当にダメです……」
「本当に、酸っぱいのダメ……」
2度言うくらいにはダメらしい。


順番決めはじゃんけんで。
一番に勝ったいせゆが好きな順番選べることに。
「じゃあ一番で!高い方狙います!」

DAY×DAY/BLUE ENCOUNT
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どちゃくそかっこよく歌い上げるいせゆの横で、みやたんがノリながら、めちゃくちゃいい笑顔で揚子江の肉まんを頬張っていたのが印象的。いせゆが歌い終わって、まりあに「よく食うねぇ」と突っ込まれると「カロリー、これから使うんで調整です」とのこと。

消費カロリー:9.8

あれっ……?となる3人。
激しい曲なのに意外といかなかった。


Lovers/sumika
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とにかくステージの上手から下手まで大きく動き回って身体全体で表現してカロリーを消費しようとするみやたん。違うそうじゃない。
歌詞の「B5の紙に書き出してみたんだ」に合わせて空中に手で描いた紙のサイズ、どう考えてもB5じゃなくて笑った(中央から上手に移動しながら大きく描くのでB0を3〜4枚並べたサイズはあった)

消費カロリー:9.5

肩で息をしながら「あんなに…頑張ったのに……!あんなに頑張ったのにぃ……!」
頑張る方法がちょっと違ったね……
「俺の匙加減で(勝敗)決まるねこれ。それか(2杯あるから)2人に飲ませちゃうか」
「もう絶対俺らのじゃん〜!(悲鳴)」


「1曲普通に歌って、平均がだいたい10kcalくらいらしいんだよね」
「ちょっとした仮説があって。単純に長い曲歌えばね、消費カロリーは増えるんですよ。ということでこれ」

366日/清水翔太feat.仲宗根泉(HY)
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悲鳴が2人から漏れ、頭を抱える。
「執念の6分や……」
執念て。

〜歌唱後〜
「声、すごく綺麗ですよね」
「アッ…ドウモ……なんか普通に褒められるの恥ずかしいね(照」

消費カロリー:12.2

「うっわ、俺じゃん!!!」

クエン酸ドリンクが届く。
「あ、意外とグラスちっちゃい……なんかテキーラのショットみたい」
「わかんない……」
いせゆ、意を決して一気に飲む。撃沈。
「めちゃくちゃ酸っぱいです……」
2人を見て、2杯目はどちらに渡すか悩む。
「みやたん……」と差し出そうとするも、寸前でさっと引っ込めて一気に2杯目も呷って飲んだ。会場から拍手喝采
めちゃくちゃ格好良くないかそれ……?
「水飲みな!水!」
「えっ、水甘い……」
「味覚イカれちゃった……?」

「いや〜そんな酸っぱいかぁ。ちょっと気になるわ〜」
余裕をかましていたところにスタッフのご配慮で頼んでないクエン酸ドリンクが運ばれてくる。
「僕が(無理矢理)2杯飲んだの、完全に無駄じゃないですかぁ!」
「いや〜、雅也くんに渡してたらこれ俺のでみんな1杯ずつだったのにね〜」
「ルートが分岐しちゃったんだって!俺といせゆーが飲むはずだったのをいせゆーが飲んじゃったから……」
身振り手振りしながらなんかよくわからんこと言い始めた。
いせゆ、おもむろに受話器をとる。
「すみません、クエン酸ドリンクとうどんのつゆお願いします」

まりあが先に飲む。
「あ、これまじで酸っぱいね。こういうイベントのってさ、ゆーても意外と水で薄めてくれてたりするんだけど」
「俺、結構酸っぱいの大丈夫なんだけど、これちゃんとしっかり酸っぱいわ」

それでも全然平気そうな顔してるまりあ。
「あっ、ほんとに水甘い!」
「甘いですよね!!」

「え、梅干し系ですか?レモン系ですか?」
「ん〜……レモン系?」
「じゃあ俺いけるかもしれん……」

届いたクエン酸ドリンクを一口だけ口に含むみやたん。
「〜〜〜〜〜っっっぱ……!」
なんとか完飲。
「一番きつい飲み方したんじゃない?」
「ほんとだ、お水甘ぁい……」

「出汁で口直ししなよ」
うどんつゆの出番。
湯呑み茶碗で提供された。
「……おいしい」
「美味しいんだ!?」
「美味しいです」
「あったかいの?」
「あったかい!(なんか元気になった)」

ちなみに消費カロリー計算方法は、マイクに入力される「声量」、楽曲中の「発声時間」、「演奏時間」「テンポ」などから算出されるそうです。
カロリーりれきとは?|カラオケDAM


◆デュエット

前々前世/RADWIMPS(伊瀬&宮﨑)
youtu.be

みやたんが声をかけて立ち位置を変える。下手にみやたん、中央にいせゆ。
めちゃくちゃ楽しそうに歌う2人。
そしてサビでハモる。みやたんが上ハモ。ハモるのにスピーカーの位置関係とかで立ち位置変えたのかな?(知らんけど)

「ちょっとぉ、ハモるじゃん〜〜〜〜〜!(テンション爆上げ)」
その気持ちわかるよ〜〜〜〜〜!!!
声出せてたら確実にFooooo!!!!!とかやってるわ。


ネガティブファイター/Hey!Say!JUMP(宮﨑&児玉)
youtu.be

「バンドじゃないけどぉ!?」
「(歌詞にあるビビリバビディブーの元ネタの)ビビディバビディブーはですね、調べたんですけど、特に単語に意味はないんですけど魔法の言葉なんですよ。だから魔法をかけます。この曲はバンドです」
魔法でバンド曲になった。


僕が僕じゃないみたい/SixTONES(伊瀬&児玉)
youtu.be

「バンドじゃないけどねぇ!?」
「あの、魔法で……」
魔法でバンド曲になったその2。
途中しみじみとMV眺めて「顔がいいんだ……」とただのオタクの呟きが漏れる。

「いや〜2人とも気ぃ使ってジャニーズ曲覚えてもらっちゃって……」

フロントからの電話「お時間10分前です」
3人「もう!?」


「じゃあ最後は全員でね、あの曲を歌って終わりにしますか」

証拠/ジャニーズWEST(3人)
youtu.be

「これはもう広義の意味でバンド曲ですわ!!」
「皆さんもね、指でこれ🤘してください。こう(狐の形)じゃなくてこれ🤘です。一緒に盛り上がりましょう〜!」


終演

最後に1人ずつご挨拶。
別のカラオケイベントに出演した際、不完全燃焼というか、なんかちょっと思ったのとは違う感じだったらしいまりあが、マネージャーさんにこんな企画がやりたいと話して、マネさんが色々と掛け合ってくれて、そしてジャングルさんが名乗り出てくれたらしい。
改めて関係者の皆さんに感謝──

「じゃあ俺たちは先に出てよっか。支払いはみんながしてくれるから」
「えっ、ねぇそれ持って帰んの!?」
みやたん、皿(揚子江の肉まんの残り)を大事に持って退場。楽屋で食べるらしい。


感想

最高のカラオケでした。もうほんとにめっっちゃくちゃ楽しかった……!!!!!!!
まりあが自由にオタクを出しつつも、ちゃんとこの企画をプロデュースした立場として(?)、2人とは歳の離れた業界の先輩として、色々と気配りをしながら場を盛り上げているなぁと感じました。
いせゆの伊瀬結陸としての初めての歌唱のお仕事・地方イベがもしカラでよかったな……と勝手にしみじみしているし、みやたんもすごく楽しそうにのびのびと歌っていて、オタク、とても幸せです。

オタクの夢を叶えてくれて本当にありがとう、もしカラ……

今後も是非たくさんのゲストさんをお迎えして続いていってほしいイベントだなと思います。関係者の皆様、どうぞよろしくお願いします。

オタクはその日の夕食として資さんうどんでかしわごぼ天を食べたり、翌日お土産に三日月屋のクロワッサン(ココア含め数種類)買って関東へ帰りました。10年ぶりの福岡遠征、本当に楽しかったです。


グッズ通販開始したよ




追伸 まりあへ。
夜中にスペースやる時は録音残しといてください。ほんと頼みます。

サイステはなぜ100分だったのか。


sidem-stage.idolmaster-official.jp

ドラマチックライブステージ
アイドルマスターSideM

2022/6/16(木)〜6/26(日) 全14公演
天王洲 銀河劇場


CAST&STAFF

演出   荒木宏文
脚本   佐野瑞樹

DRAMATIC STARS
天道 輝 役  加藤良輔
桜庭 薫 役  澁木 稜
柏木 翼 役  宮田龍平

High×Joker
伊瀬谷四季 役 土屋 翔
秋山隼人 役  櫻井圭登
若里春名 役  高橋祐理
冬美 旬 役   大見拓土
榊 夏来 役   設楽銀河

C.FIRST
天峰 秀 役   北川尚弥
花園百々人 役 中島優斗
眉見鋭心 役  平賀勇成

OTHER
山村 賢 役  三好大貴

齋藤孝司 役 立木文彦(声の出演)


6/16(木) 初日 3階センブロ
6/18(土)マチネ 1階最後列センブロ
6/19(日)マチネ 2階上手ボックス席
6/24(金)ソワレ 2階上手ブロック
6/25(土)ソワレ 2階上手ボックス席 ※サイドシート
6/26(日)千秋楽 配信
幕が上がるまでは2枚しかなかったのに現地チケ増えた。
1回くらい下手にも入りたかった〜


アイドルマスターSideMくん、
8歳おめでとう!!!

サイステのパンフに「もうすぐ8歳になります」って書かれてたの、あまりにもSideMで好き。

ということでもう6月どころか7月も終わってしまった。梅雨が明け、SideMは8歳を迎え、あっという間に8月である。サイステが千秋楽を迎えてから……いや、開幕からおよそ2ヶ月である。時が過ぎるのが早すぎる……
特にこの公演が原因で感染者が出たというような話はなさそうだったのでその点では安心した。病気・怪我・大きなトラブルなく、誰一人欠けることなく無事にサイステの幕が上がり、そして千秋楽を迎えられたことが奇跡だったのではないかとすら思える。アイドルたちの輝きを届けてくれてありがとう、ドラマチックライブステージ「アイドルマスターSideM」……円盤と楽曲CDの発売を楽しみにしてます。

大規模な商業演劇から2.5次元舞台から小劇場まで、最近では連日のように公演関係者感染の報告・公演中止の報告が流れてきて、本当にめちゃくちゃ心が痛い……感染された方の一日も早い、そして万全の回復をお祈りすると共に、この未曾有の状況が一刻も早く落ち着くことを願っています。


これはPで観劇趣味のオタクによる、言いたいことは山ほどあるしアンケートにもめいっぱい書いたけど、しかし総じて楽しかったので!次を!ください!!!という趣旨のサイステ感想ブログです。
なんで今になってブログを書いているかといえば、ただただ単純にだらだら書いては消してを繰り返していたせいです。前回の記事なんて6年越しの感想だったのでまぁ誤差です誤差。勢いで書き切ってしまうべきだったなとは思うけど、Pで観劇趣味のオタクとして自分の感想をちゃんと残しておきたかったので置いておく。
なんか仰々しいタイトルになったけど、なんで……100分だったん……???て考えてたらそんな話になったので。その辺の話は最後にあります。


◆前提
P暦:10年目。デレから入って一通り履修して今は主にSideMとシャニ。SideMはモバ開始当時からずっと箱推しだったけどサイスタから百々人担当。
観劇暦:20年超。作演出:末満健一でサイバネが観たいと言い続けている。2.5舞台は2012年のペダステ初演から。これ書きながらいせゆが生まれてないことに動揺している(P、いせゆ算やりがち)


まさかの舞台化。

実家(舞台沼)と実家(SideM)ですが???

ソシャゲの舞台化……メディアミックスの一つとして全然ありだし今やもう様々な作品で普通に展開されているけれど、確かに声優ライブと特別結びつきの強いアイマスでその可能性を考えたことはなかった。いや、SideMのプロミ名物である劇中劇の朗読→主題歌歌唱がほんと好きだし、どうにかしてサイバネを末満脚本演出で舞台化してくれないかとずっと思ってはいたけどね?でもその一方で無理だろうな〜〜〜〜〜(大の字)ともしていたので。ミリオンの6thでは夜想令嬢によるミュージカル仕立ての「昏き星、遠い月」があったし、8thではオペラセリア・煌輝座のダンサーとして宝塚OGが起用されたりと、段々とその夢も近づいてきているのではないかとは思っていたけれども。
それでも、アイマスが実際に舞台化するとは思っていなかったので、とにかく一報を聞いた時はめちゃくちゃ驚いた。
バンナムサイドも舞台化の発表には賛否両論巻き起こることは予想していたと思うのだけれど、第一報の時点で脚本・演出・制作会社・劇場・上演月を発表してくれたのはありがたかったし個人的なサイステへの信頼度はぐんと上がった。めちゃくちゃ褒めた。キャストももちろん気になるけど、とにかく制作陣は本当に大事なので……余計な不安・疑問を一気に取っ払おうという判断をしてくれたことに感謝している。
限られた予算や尺の中で、映像のように詳細な情報が得られるわけではない『舞台』。ここが事務所だと言われればそこは事務所だし、レッスン場だと言われればレッスン場なのである。私は目の前で繰り広げられる生身の役者の演技と観客の想像力から生み出される『舞台』というコンテンツの無限の可能性を信じているので(大真面目に言ってる)、サイステから生まれるであろう新しい発見はとても楽しみだった。
が、それはそれとして。
Pとしては脚本演出でNot for meになる可能性に怯えていたのもまた事実である。役者としての荒木宏文は知ってるけど単独演出初って言われるとやっぱり流石に未知数すぎたし……脚本の佐野さんもお名前は存じていたけど、今回どちらかというとその過去の方が話題として取り上げられがちだったし(過去が未来を輝かせるコンテンツとしてはめちゃくちゃ適任ともいえる)
まぁどんなに周囲の評判が良くても自分には合わない、は普通にあるし、逆も然りなので。ここに書くことはあくまで個人的な感想です。
ただただ舞台の成功と、できれば解釈違いにならないことを願うばかりだった。


ところで、まず「銀河劇場」っていうのがめちゃくちゃ良くない?
劇場に入るまでのあの佇まいも好きだし、最後列でもとても見やすい奥行き(その分高さがあってさすがに3階だと遠いなというのはあるんだけど……)何より名前が「銀河」。315プロにはDRAMATIC STARSやJupiterがいるし(相模原市コラボありがとうございます)サイステの原作となる最新アプリの名は「GROWING STARS」──“成長する星”を冠しているし、315STARSの、アイドルたちが輝くための一歩を踏み出すのにこれ以上適切な劇場があるだろうか。いやない(反語)
個人的に初めて2.5次元舞台を観た劇場という思い入れもあって勝手にエモを感じてしまった。

セットはなんか淡いユニットカラーでユニットロゴもついてて階段が多くて高さがあって……なんというか、謎空間だな!って思った(別にそれが悪いとかではない)
客席は3階席まであるから(そして私はまさに初日が3階席だったので)高さのあるセットはたすかる。上段・中段・下段と3ユニットでそれぞれ分かれることもできるし、ライブパートではそのままステージにもなるし、汎用性が高い。謎空間だけど。
あの階段、最初☆型かと思ったけどどっちかっていうと*かな……最上段のスペースが狭そうで少しヒヤヒヤした。

色々気になる芝居パート

主に芝居パートについては、初日の印象としては「良くも悪くも想定内」……これは3階席であまり没入感を得られなかったからというのもあると思う(アソビストア先行なのに!よりによって!そこくるか!)

気になった点を最初に書く。前述の通り、これはあくまでも個人的な感想です。
<ここから>
やはり一番気になる部分はサイスタメインストーリー 第1章RTA。良く言えばサクサク進む。悪く言えば早口で捲し立てるのでしっかり咀嚼する暇がなく、スト未読だと置いていかれそうになるところ。この序盤の駆け足がものすごくもったいない。初日だから多少走ってたのもあるのかな…… と思ったらやはりその気はあったらしいが(6/26三好大貴インスタライブ情報)
2回目以降は初回ほどは気にならなかった、2回目以降は改善されてる気がする!って観測範囲みんな言ってたんだけど、ベースはそんなに変わってなくて、いい感じに座組みに余裕が出てきたり自分の脳が慣れたので気にならないんじゃないかな〜という印象。後半でもやっぱり初見は「早っ」て声が多かったので。

丁寧な物語の積み重ねがあり、それが後々効いてくるのがSideMの醍醐味だと思う。ドラスタPではないのだが、桜庭をトラブルのキーにするのであれば彼が焦る理由についてもう少し丁寧に伏線を描写してほしかったなと。いつものと言ってしまえばそれまでだが、初期らばはやっぱりどこの世界線でもこういう役割なのか……アニメはそこに至るまで10話分の時間があったから流れも理解できたけど。舞台はそもそも序盤RTAだし、四季や輝のフォローがあるとはいえ、少し唐突に感じてしまった。
そもそも1ヶ月後にライブ本番、構成から演出までアイドルに丸投げなのはさすがにPが無能ではないか???社会人経験のあるドラスタがいるとはいえ、新人アイドルだぞ?他の13ユニットも同様の状況に置かれているのだろうが、出来立ての事務所でいきなり49人もスカウト、対してPと事務員がひとりずつ、社長……バランスがおかしいんだよな(今更)(346よりは少ないけれども)(こうして生身の人間によって提示されるとゲームやアニメではスルーできていた部分も気になってしまうんだな……)
しかも時間がないという理由であれだけ焦った桜庭の解決策が「これから新曲を作る」というのも疑問が残る。あと2日!でおなじみのサイスタくんだってライブ用の新曲は1ヶ月切ってるのに作らんやろ!既にPに話を通してあると言われたってアニメの石川Pくらい有能描写がないと流石に納得はしかねるのだが!?(いやもちろん数日、数時間で1曲作りました〜みたいな話も聞くし、商品化や流通のこと考えなければいけるんだろうけれど……しかしそこから振付をつけてもらって、そして練習に入るんだから、ある程度の時間はかかるんじゃ?)
うーん、やっぱり描き方の問題かな。十分な尺と流れがあれば納得できた気がする。
尺がないから説明台詞も多くなるし、掛け合いの芝居で見せてほしいな〜と思うところが多々あったり。かと思えば、場面転換したそこは一体どこなんだろうなと思ったりもする。謎空間。舞台オリジナルのメンタル組のシーンは特にめちゃくちゃ良い話をするシーンなだけに、ふと気になっちゃうんだよな……
あと百々人の登場時、モノローグと台詞に演出の差があまりないので独り言っぽく見えてしまうの、惜しい。
音響ミスや機材トラブル。ないに越したことはないけどおきてしまったなら仕方がない。怪我するようなトラブルでなかったのは幸い。でもそれは公式から一言あるべきで、頼むから役者に謝らせないでくれ……
あと使用ペンラのレギュを設ける以上はうるさいくらい告知徹底してくれ。Pしかいない現場じゃないので……
</ここまで>

すまない。どうしても印象に残りやすいので……アンケートはちゃんと書いて送ったし、気になる点を差し引いてもなお「楽しかった」と言える舞台化だったと思う。だからこそ次が欲しい。
舞台化それ自体がSideMの、ひいてはアイマスにとっての冒険であり初挑戦。まだ探り探りの部分はあると思う。舞台化への挑戦を決断したバンナムサイドにも、それを引き受けてくれた制作陣にも感謝したい。
その上で「舞台として」もっと挑戦してほしかったな〜とは正直思った。これはバンナムサイドに向けてです(あのRTA部分をそのまま入れるのはバンナムからの発注だろうと思っているので)
初観劇のPの感想で「舞台って(速度etc.)こんなもんなの?」と見かけた。観劇趣味を持つ者として、舞台というコンテンツの持つ力を信じる者として(主語をデカくするのは良くないが)とても悔しかった。くそー!絶対もっといいものになるよ!!!だから次回作を頼む!!!

とにかく尺が!足りない!!!

往々にしてボリュームのある原作要素を詰め込もうと思ったら駆け足になってしまう、ということは2.5次元あるあるだとは思うが、ゲームと舞台、そもそも表現方法の違う媒体なのだから、そっくりそのままやろうとすればいいってものではないし、しなくていいとも思う。もちろん、原作で聞いたあのセリフが!あのシーンが!みたいな感動はあるけれど、『原作に忠実』というのはSideMというコンテンツが長年大事にしているものだったり、そのキャラクターのキャラクターたる根幹部分に対してであって、同じシーンやセリフをただ組み込めばいいというものでは無いので。
演出の荒木くんがそこを大事にしてくれた、と知れたのは有難いし、長く2.5次元舞台に役者として立ち続けてきたからこそだなとは思う。2.5次元舞台の現状を知る役者目線の演出、という点で、このインタビュー(D-DAYS voi.174 荒木宏文)良かったです。


とりあえず気になるとこ吐き出したので、後はもうよかったとこ書いていくよ!

まず公式Twitterの運用方法。毎公演の劇中の差し入れやお弁当をアンケートで決定するのは面白い試みだなと思った。声優ライブの方でもPからの差し入れという名目でケータリングが提供されてるし、劇中で言っていた通り「SNSを巻き込んで盛り上がる」の実現でもある。一方通行ではなくPの声が実際に反映されるのは嬉しいし、これはすごく良かったな。休演日にも企画ツイがあって楽しめた。

開幕社長の声が聞こえるともう「弊社ァ!!」ってなるし、映し出されるフォントが力強くてSideMだなぁって思って笑った。圧。
輝のギャグ、それが滑るところ、冷めた目でツッコむ薫と宥める翼。ドラスタが目の前にいるの、感動した。ドラマチック脚長スターズさんたちマジでスタイルが良い。それでいてあのDa値高いダンス披露されるのでびっくりするね……エゴサで脚長言われてるの把握したのか、脚のお写真投下された時は福利厚生が良すぎた。ありがとうございます。
序盤ハイジョのライブシーンは観客になれたのが嬉しかった〜!!めっちゃ拍手した。ちょっと観客歓声SEが大きくて邪魔なくらい。
宿題のシーンで一番好きなのは前楽の25(土)ソワレです。千秋楽はその発展形で結構オーバーに春名の腕をぶん投げるんだけど、コミカルなシーンとはいえ隼人の性格上、そこまでしないんじゃないかなと。塩梅がちょうど良いのが前楽だったと思う。それまでは隼人の「もう、ちょっと……かな?」の言い方、微妙なニュアンスの変化でやってきたので遊ぶ余地ができたんだなーって思うとニコニコした。旬はあれ耐えるのも、笑っちゃってからの立て直しも大変そうで「ジュン…」てなった。
クラファのおもちゃ屋のお仕事はスクリーン使った見せ方が面白かったし、それがダイジェストの役割も果たすのでいい演出だったと思う。スクリーン使うのが最初の社長・クラファお仕事・芝居パートとライブパートをつなぐ舞台袖映像の3箇所くらいで、効果的に使ってくれたのがよかった(映像多用演出はあまり個人的には好みでないので)
メンタル組のシーンめちゃくちゃ好きなんだけど、本当にこの組み合わせでしっかり1シーン描いてくれたのは感謝しかない。百々人の話を丁寧に聞いてくれて、でも不必要には踏み込まない春名。距離感がめちゃくちゃいい。「期待に応えられなかった」経験を持つ翼の話はまだ選択肢を広く持たない百々人の希望になってくれる。多種多様な前職・経験を持つ者たちの集まった315プロっていいな、という部分の濃縮。この組み合わせを描いてくれただけでも舞台化してよかったな〜と思った。

芝居パートのあとに山村が出てきてペンラ点灯OKの合図して、転換・ユニット衣装への着替えの繋ぎに流れる映像が『舞台袖』っていうのがもうめちゃくちゃ“““良”””では……?????すごい、えっ見たことありますけどこの画角……みたいな。それこそサイスタの最初のシーンは舞台袖から始まってるわけだし(夢だが)
配信だとスクリーン投影の映像をカメラで撮ってるのでちょっと画質というか明度が残念だったのだけど(現地では綺麗に見えた)でもその薄暗さは寧ろ舞台袖のリアリティがあって良かったのではないかと思う。現地で見た映像だと役者の表情を見せるためとはいえ、ちょっと明るく鮮明すぎる気がする。あのシーンは稽古のどの段階で撮ったのか気になるなぁ。
アイドルが題材の舞台。合同ライブを成功させようというテーマで芝居パートが進んで、実際にライブパートが用意されている。その間を繋ぐものがこの舞台袖映像なのだからもう大正解。いや〜、これは舞台ならではだなと思った。
しかも舞台袖映像の最後の台詞が「最後までよろしくな、プロデューサー!」なのが嬉しいし、アニエムも思い出すし、こうやって呼びかけられるのPは弱いんですよ……徹頭徹尾、観客をP目線でいさせてくれてありがとう。

大勝利のライブパート

いよいよ幕が上がったそこには6本のトラス、バチバチの照明。事務所でありスタジオであり公園でありふんわり謎空間であったその場所は輝くステージへと一変する。
試聴動画が出るのが遅かったのは初日ドアラのサプライズのためだと思うので、第二弾などあれば先に出してくれる……はず!!楽曲本当にめちゃくちゃいい……ダンスがキレキレ……バンド当て振り上手い……ヘッドセットのおかげで両手が空くからダンスの表現の幅が広がっていいよね。何度もゲネプロ動画と楽曲試聴動画を再生している。円盤出るまでずっとお世話になります。

M1. Don't U Worry
バチバチのEDMのクラファが先陣切るのわかる……この3ユニットで最初にぶちこむならクラファだ。響くイントロと暗いステージを切り裂くユニットカラーの照明が鮮やかで、もうこれだけでテンションが上がる……この曲がステのクラファにとってのST@RTING LINE、最初の曲なんだろうけど、やっぱり彼らは「僕があなたを照らす光になるよ」「一人じゃない」「僕がいるよ」と孤独に寄り添うメッセージ性を強く押し出すんだなぁ。バチバチにクールでかっこいい曲だけど、歌詞からは優しさを感じる。
それにしてもダンスめちゃくちゃ細かくて難しいが???

M2. Sunrise Dreamer
王道のドラスタ。暗闇を切り裂く鮮烈な光のようなクラファに対し、こちらはタイトル通りの「太陽が昇る」明るく眩いライティング。真っ直ぐな歌詞がドラスタらしいし、この一曲でもうサイスタダイジェストなところがある。全く違う道を歩いてきた彼らが315プロで出会いユニットとなり、時に喧嘩し迷いつつ「互いの道を照らし合いながら」3人で歩いていく。「眩しい太陽になるのさ」を輝が歌うともう、そうだねとしか言えないよ!!!
ドラマチック脚長スターズ……Da値が高い……

M3. LET'S GO ALL THE WAY!
バンドのハイジョ〜〜〜〜〜!!!3rd仙台、静岡とはまた違った感動がある。
「今」という瞬間を楽しく5人で突っ走る、青春の具現化ハイジョ……キラキラ眩しい彼らが315にかっこよかったです。いいものを見た。芝居だけでなく楽器練習までしてくれてありがとうございます。ボーカルがドラムやギターのとこ寄って歌うよくあるあの構図、好き。歌詞に春夏秋冬四季と名前が入ってるのも、メンバー紹介を入れてくれたのも嬉しいポイント。

M4. Our Colorful Stage!!!
めちゃくちゃSideMくんじゃん!!!てなった。なんか泣けてきちゃうんだよな……「俺たちにしかできないとっておきをこのステージで」本家声優じゃなくてステキャストが歌うからこそ響くのかもしれない。とても好き。早くフルが聴きたい。
これは桜庭提案の「今回の3ユニットの新曲」なので、次回以降のユニットではやらないのだろうな。それはそれでさみしい。でもまた良い曲作ってもらえるんだろうと思うと楽しみ。
ちゃんと劇中で言っていた通り、それぞれのユニットらしい歌詞が入っていたり、ユニット越境の歌割だったり。翼と百々人のメンタル組背中合わせ、四季と薫のメガネーズ、眉見と春名の18歳組、旬と夏来の幼馴染……ありがたい。歌割の組み合わせも劇中で言ってた通り日替わりかと思ったけど流石にそれは大変か。
アンケにも書いたけどアイマスチャンネルで振付動画出してほしい〜!というかステ関係者のインタビューとかね、お願いしますよ……

M5. DRIVE A LIVE
聞き覚えのありすぎるイントロ。ドアラになると途端に生き生きとするPのペンラと天道輝の「せーのっ!」でうわ〜〜〜〜〜!実家!!!した(ありがとうございます)ドアラ作詞曲の柿埜さんにPのドアラ実家呼びがバレたのには笑った。
サイスタくんはエムステ時代のカードが報酬のイベント形式があったりとサ終したエムステくんのことを忘れないでいてくれるので、ドアラの振付もエムステVer.……声優ライブにはない振付があるのもありがたいなぁと思う。フリーの部分がないとも言えるけど、かっちり全部振り付いてるのがなんか、よかったね……
シリーズとして続けてもらって、早くステのライブやろう。頼む。チケットはもぎとります。


フルはよ。10月発売!
youtu.be

ライブパート中心のゲネプロ動画
youtu.be
 

各キャスト感想

DRAMATIC STARS
天道 輝:加藤良輔
その日Pは思い出した。天道輝がDa型の男だということを……(どうしてもCV.仲村宗悟のイメージがVo寄りだったので)
キャスト発表の際からりょーちんさんの過去のお話を耳にしていて、まさに天道輝じゃん……していたのですごく楽しみにしていた。輝だった。キャスティング担当さんがどこまで考えていたかは知らないけれど、過去が未来を輝かせていくんだなというのを実感した。
ドラスタの口論、『理性の天道、感情の桜庭』が端的に表されていて、ちゃんと自分から先に謝るところめちゃくちゃ天道輝だし、日替わりっぽい謎ポージングも天道輝!!!を感じられてよかった。

桜庭 薫:澁木 稜
まじで桜庭薫なんだよな…………すごい、立体。三次元。なんかもう2.5初心者か、みたいな感想が思わず口をついて出る。ダンス練習後にへばってる体力のなさ、愛おしい。
ドラスタの口論、リアルにお出しされると本当にピリピリするな。あれが日常茶飯事かぁ……
ライブパートでは笑みを浮かべながら歌い踊ってくれて、あぁアイドル桜庭薫、お前はこう歌うのかと思わずこちらも笑みが漏れる。衣装のひらみがたまらない。

柏木 翼:宮田龍平
三次元ナイズされるとこうなんだなぁってすとんと腑に落ちる優しいお兄さん。メンタル組のシーン、へばってる薫に声かけるところ、とても好き。
ライブパートはYusuke先生じゃない振付やフォーメーションが新鮮で翼がセンターになるパートもあって嬉しかった。
あと中の人がめちゃくちゃ食べるので本当に柏木翼だ!!!した。公演後ツイのTPPにはめちゃくちゃ笑った。


High×Joker
伊瀬谷四季:土屋 翔
メガメガテンションが高い四季だ〜!動画撮る時の近さに笑った。四季の靴が脱げた回の隼人の自然なフォロー含め5人の関係性が良くて、わちゃわちゃしてるハイジョそのもの、その中心にいるのが四季なんだな〜ということを再確認した。
いつか野上さんとの伊瀬谷四季役W翔ツーショを待っています。中の人の物腰が丁寧そうなのも共通している気がするな。※こちらは「かける」さんです

秋山隼人:櫻井圭登
刀ステの肥前の印象が強かったので、発表された時からどんな隼人が見られるんだろうな〜!ってワクワクしてた。肥前忠広(CV.小松昌平)を演じてた役者が、秋山隼人(CV.千葉翔也)を演じるの、いや〜〜〜〜〜役者すごいなって改めて思う。
ていうかこの隼人くんがモテないわけねぇのよ……っていう原作からの印象そのものだった。かっこいいギターソロかました後にスミスのチケット戦争負けた……ってギター抱えてるとこ可愛かったね。

若里春名:高橋祐理
じ、実在…………
若里春名担当ではないんですが、思わず目で追うくらいには若里春名だ!?した。すごい、実在してる。身体の厚み。制服の着方。担当より感動してしまったかもしれん。そしてまたドラムのスティック捌きがやばい。現地後半はハイジョの赤と春名の個人カラーである黄緑を振って双眼鏡でドラムをガン見してました。Pっていうかファンしてた。あ、ドラムに目が行きがちだけどダンス&ボーカルグループで活動されてるだけあってダンスもとてもいいんですよね。
声がそもそもしらいむっぽい感じ?インスタライブでのご本人の反応的にあんまり意識して作ってるという感じではなさそうだったけど。キャスティング担当さん、いいもの食べてください。
こだまPの感想にはにっこりしました。

冬美 旬:大見拓土
旬……真面目な性格とか音楽に対する姿勢とか、他の4人と一緒にいる時の楽しそうな感じとか、綺麗に踊るところとか。とても旬だったな。宿題のシーンは大変そうだけど毎回の楽しみでした。
インスタライブで80分みっちり語ってくださったの、本当にたくさん旬に向き合って、めちゃくちゃ苦悩されて、でも愛してくださったんだなぁというのが伝わるので、アーカイブはもう消えちゃったけど、聴きそびれた人は良かったら書き起こしを読んでいってくれ……
6/27 大見拓土くんインスタライブ - Privatter
全Pに知ってもらいたい。この愛。

榊 夏来:設楽銀河
あのテンポのはやい芝居パートの中でもちゃんと夏来のしゃべるペースで。後から刀ステの五虎退ちゃんか!と知って驚いた。旬と夏来の「楽しい?」のあのシーンが好きで、丁寧に描いてもらったの良かったなと思う。あのシーンは階段の高低差を利用した立ち位置がうまく作用していた気がする。毎回少しずつ動きが違ってたけど(大見くんのインライで聞く限りはあのシーンの動きは役者任せで割と自由なのかな)、旬を見上げた夏来からの問い→同じ場所に降りてきて「楽しいよ」って答えるのとか好きだった。


C.FIRST
天峰 秀:北川尚弥
機材トラブルでドアラがなかなか流れなかった回のアドリブをレポで読んで「は〜〜〜〜〜……大天才!!!!」って天を仰いだ。場数踏んでる人がいてくれるの安心感しかない。メインでないところの細かい芝居もさすがだなぁとちょこちょこ双眼鏡で追ったりした。眉見が生徒会に声をかけてみると言い出した時の「やっべ……」みたいな表情、好き。クラファは中の人の年齢順がちょうど役と正反対なの面白いですね。
両脇に現役アイドルを従えて、それでも見劣りしないダンス踊るのすごくない?

花園百々人:中島優斗
観劇後フォロワーの第一声が「足首!!」だった。わかる。細いんだよ……絶対領域って感じですね。双眼鏡でガン見しましたすみません。ちゃんと食べてるのかな?って心配になる感じ、百々人。
印象的なシーンは輝と薫の口論の時、ビクッとして一歩下がるのがすごく百々人だと思った。秀は仲裁しようと?一歩前に出るので対照的。あと薫の後ろでぎゅっと拳を握ってたり。百々人の両親は怒鳴って当たり散らすタイプではなさそうだけど、ああいう空気には敏感だろうなと。
おもちゃ屋お仕事のダンスシーン見てあぁほんとに踊ってる……うわアイドルじゃん……しました(アイドルです)サイスタPの自我とかスカウトの仕方に言いたいことがないとは言えないのだけど、本当にアイドルにしてくれてありがとうだし舞台は観客をPに見立てているので自我がなくて良いなと思うなどした。そしてライブパートは現役アイドルの本領発揮で。ありがとうございました。
発声練習の怪鳥は流石に笑っちゃったけど、なんかもうまさにSideM一味だなって思いました。好きですね。

眉見鋭心:平賀勇成
見た人みんないいって言ってます。※ゆくくるのあれ
いやあの、本当に研究に研究を重ねてくれたんだなぁというのが滲み出ていて。まさかモバエムやポプマスでも勉強してくれてたとは思わないじゃん……
ダンスもキレッキレで直線的。眉見鋭心のダンスだなというのが一目見て伝わってきてよかった。アイドルとしてのご本人のダンスはまた違うんですよね。最初の挨拶の時、ちゃんと一番下に降りてからお辞儀する、上から失礼しないところが眉見だ!って感じた。その角度も。
そしてだからこそ、アフト回での2歳児っぷりには本当に驚かされた……ずっとお兄ちゃんたちの方ばっか見とる……役と素のトークの差とか、人見知りエピとか面白すぎました。
それにしても同僚ガチP、2歳児、ゴジョマンベ……属性が多すぎるよ〜〜〜〜〜!!
やくたけおと会えるといいなと願ってます。円盤発売記念!とかでいっそ対談企画してくれませんかね?(アンケートに書き忘れた)


OTHER
山村 賢:三好大貴
信頼のらんくん。私は一応、劇団Patchのオタクでもあるので……まさかSideMと繋がる日が来ようとは思ってもなかったんですよ……
声の波形を研究して完全に寄せてくる役者として有名。山村も最初はそのアプローチで臨んだけどやっぱり変えた、というのはインスタライブで語ってくれたので、是非アーカイブで聞いてほしい。ペンラ点灯タイミングの話とか、めちゃくちゃ聞きどころが沢山あるので。
www.instagram.com
もし次があるなら。次もらんくんに山村やってもらいたいなぁ。全てのユニットを見届けてほしい。


そもそもなんで100分?

多分、今回大体気になったところは尺で解決すると思うんですよね……
今回のサイステは全体で約100分。ライブパートをざっくり30分差し引いてしまえば芝居パートは70分しかない。
全体で100分は気軽に見られる長さだし、だからこそ追いチケしたような部分もあるのだけれど、2時間半〜3時間の舞台(それがいいかどうかは作品による)も存在する中で、それでもやっぱり芝居パート70分は短いなと感じる。
これが仮に上演時間が2時間であったなら、同じようにサイスタをなぞった序盤であってもRTAにはならず、感覚はまた違ったものになっただろう。
どうして、せめてあと10分でも延ばせなかったのか?ということを悶々と考えていたのだが、最近になってようやく腑に落ちた。
『コロナ禍での上演だから』である。

上演当時は現在の第7波から比べればまだ感染状況が落ち着いていたとはいえ、いつどうなるか、誰にもわからなかったのだ。
舞台は年単位で準備が必要だ。2年〜3年前から劇場を押さえて企画が進む。このサイステもコロナ禍の真っ只中に企画が進行していたと思われる。
緊急事態宣言下、あらゆるエンタメが不要不急とされた。外出自粛の要請。劇場は20時までの営業短縮を強いられた。
数多の劇団や制作団体がこれに苦慮していたことを鮮明に記憶している。この『20時まで』という制限は、上演時間の決定に大きく関係しているのではないだろうか?
もし公演が始まる前に、あるいは公演中に、感染者数の増加によりまた同じような緊急事態宣言が発出された場合にも、確実に20時には客出しまで含めて対処できるようにということである。事実、平日のアフタートークショーを終えてもなお、20時前には劇場を出ることができた。
終わりの時間が決まっているなら開演の時間を前倒しすればいいんじゃない?という単純なものでもないのが難しいところで、開演の時間が早すぎると平日ソワレの売れ行きが危ぶまれる。18時開演はギリギリの、妥当なラインだと思う。だから上演時間を短くするしかないし、そういう想定がされていたなら100分という縛りにも納得がいく。
入れなくてはならない要素を脚本に詰め込み、それでいて上演時間は約100分に収めなければならなかったのであれば現場は大変だったろうな……なんとか上演に漕ぎ着けたら序盤RTAだの尺が足りないだの言われるんだもんな(私だ)(劇作と制作は別にして考えたい)

さてここで次の疑問。コロナ禍が理由であるならば、次回公演があったとして上演時間は延ばされるのだろうか?眉見わかる?
「♪わかんない」
それはそう。第7波がいつ落ち着くかもわからない現状では期待はできない。今回は第一弾だからサイスタ世界観などの説明が必要だったと思うが、また別のユニットがピックアップされ物語が展開するのなら、サイスタRTAをする必要はなくなるのではないだろうか。舞台オリジナルの展開でうまくまとめてくれることを願う。

コロナ禍での上演についてはもう一つ。
初日配信をしてくれたのもありがたかったなと改めて思う。
現地チケットの売れ行きに発破をかける意味合いや、初日→千秋楽の熟練度、座組の成長を見せたいという意図ももちろんあったのかもしれないけれど、このコロナ禍においては無事に千秋楽まで辿り着けるかどうかすら危ぶまれる状況が続いている。だから無事に初日を迎え、カメラが入り、配信という形で多くの人に作品を届けることができて良かった。千秋楽まで辿り着き再び配信ができたことも幸運だったと思う。

本当に毎日毎日、どこかの公演からお知らせが出ている。公演関係者の感染。当日の公演中止。全公演中止の決定……幕が上がらなかった作品もある。中止になった公演に対する支援は緊急事態宣言などの政府からの強制的な行動制限が行われている中での中止に限るなど、万全ではない。(参考:緊急要望「コロナウイルス感染の急拡大による演劇公演中止についての支援要請」 | 演劇緊急支援プロジェクト

アイマスで最初の冒険であり挑戦。
幕が上がる前に、あるいは上がった直後に配信する間もなく全公演中止なんてことになれば、再び劇場と役者のスケジュールを押さえる必要があり、延期・再演は容易なものではなかっただろう。
改めて、サイステはタイミングが良かったと思う。そしてそんな不安な状況の中、公演を届けてくれた関係者には改めて感謝したい。


……と、ここまで書いておきながらなんですが、魔法の言葉を付け足しておきます。
知らんけど。
本当のところはわからないけれど、全部自分が納得するために書いたので。とりあえずこれで次回100分でも受け入れる準備ができた。
早く感染状況が落ち着き、安心して公演ができる日が来ますように。

とにもかくにも。
サイステ次回公演、ください。
 


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幻の音速レース!! 劇団Patch Patch stage vol.4『破壊ランナー』

劇団Patchが4/27で8周年!
過去公演のダイジェスト映像が公開され、DVD化されなかったPatch版『破壊ランナー』も!本編映像が!あるぞ!!見て!!!!!!!(2:07〜2:51)

【劇団Patch】劇団公演ダイジェスト動画


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劇団Patch
Patch stage vol.4『破壊ランナー』

2014/3/9(日) 12時(前楽) 観劇

STORY

西暦2700年という遠い未来、人々は生身の人間が音速で走るプロスポーツ、『ソニック・ラン』に熱狂していた。そんな中、デビュー以来負け知らずでどんな相手も寄せ付けない人類最速1.71音速のレコードを持つ男がいた。はたして、彼を抜くランナーは現れるのか


CAST & STAFF

作:西田シャトナー
潤色・演出:末満健一

豹二郎ダイアモンド   竹下健人
スガタ・ハイウィンドウ 井上拓哉

キャデラック      中山義紘
蘭堂真紅郎       杞山星璃
ライデン        三好大貴

DJ早井速三      吉本考志

ラニア        岩﨑真吾
ミラージュ・ミストレイ 松井勇歩
トレオ・ブルーナイト  村川勁剛
エンジニアドルビー   中村圭斗
エンジニアコバヤシ   山田知弘

黒川フランク      保村大和
レディ・カルリシア   遠坂百合子
スパイク・クリムゾン  山浦徹



幻のレース

今でこそ繭期を拗らせたり末満さんのオタクをやったり劇団Patchを箱で応援しているのだが、私がPatchと出会ったのはそもそも『破壊ランナー』だった。
死ぬほどパンフが売れなかったと語り継がれている(?)、あのPatch stage vol.4『破壊ランナー』である。
本公演で唯一DVD化されていない(ボクカツとカニ13も発売決まったらしいと見かけた)この公演、まだまだPatchが広く知れ渡る前のことであまり観ている人がいないようなので、既にだいぶ記憶が薄れてはいるのだが、その記憶すらもなくなる前に書き留めておこう……と思いつつしばらく筆が止まっていたのだが、8周年記念の過去公演ダイジェストに本編映像がきたので!書きます!!
この勢いで単体の!今、順に公開されてる他のダイジェストと同じくらいの長さのやつも!ください!!!!


結論から言うと、
めっっっっっっっ……ちゃくちゃ良かったんだよ……!!!


もう記憶は本当に一部のみで詳細が語れないのが悔しいのだけど、本当にこれだけは言えます。めちゃくちゃ泣いたしめちゃくちゃ興奮した。あの時Patchが演じた『破壊ランナー』は、幻なんかじゃなく、本当に素晴らしかった。



※ 8周年に間に合わせるべく、諸事情により手元にパンフがない状態でこれを書いています。本当に記憶しか頼るものがない……(あとで盛大に修正するかも)
※明らかにお前の記憶間違ってるよって部分がありましたら、そっと@hal_8までDMなりマシュマロなりでお知らせいただけると助かります(ついでに貴方のその記憶が彼方に消えないうちにどこかへ書き記してくれたら読みに行きます私が嬉しい)



稽古場レポ


関連ツイートまとめ




※自分語りとかの前フリが長いので興味がない・忙しい人は飛ばしてください。



不朽の名作

そもそも「破壊ランナーって何度も上演してるけど、どのバージョンがおすすめ?」と聞かれたら、個人的にはこの3つを推します。

惑星ピスタチオ 95年版
原点をまず観たい、若き日の佐々木蔵之介、そしてそのはっちゃけた姿が観たい方におすすめ。惑星ピスタチオの全盛期。テレビ放送されたので当時のものとしては画質がいい(末満さんがライデンを演じた99年版は残念ながら映像は残ってないらしい)

劇団Patch版(2014年)
とにかく若くてエネルギッシュなレースが観たい、青春、友情、歌う黒川フランクが観たい方におすすめ。

・SHATNER of WONDER #5(2017年版)
2020年4月現在、最新の破壊ランナー。シンプルな改稿でありながら深い掘り下げと研ぎ澄まされたレース、これが実にバランスが良い。シャトナー演出での全員男版が観たい方におすすめ。この3つの中だと円盤は一番手に入りやすい。
2017年版に関しては当時こちらで語ってます(比較としてPatch版の話も少し書いた)


って挙げてはみたもののPatch版はDVD出てないんですけど!なんでや!!(まぁ権利の関係とかでしょうが……)とりあえず記憶を絞り出してこの記事で語ります。
ピスタチオ版と2017年版は持ってるのでSTAY HOMEのお供に見てみたい方はどうぞお気軽にお声掛けください(ピスタチオ版に至っては3枚もあるんで……)



出会いは突然に

劇団結成から2年。『SPECTER』の1年前。
私はまだTRUMPシリーズに出会ってもいなかったし、末満さんが当時どんな活動をしているかさえ知らなかった。
ただどこかの劇団が上演するだけなら、もしかしたらスルーしていたかも知れない。
けれども本作は、惑星ピスタチオの旗揚げの地である大阪で上演され、元 惑星ピスタチオ所属の末満健一が脚本を潤色し、演出する。末満さんも立ち上げに関わった若手俳優たちの劇団。更には元 惑星ピスタチオのメンバーが2人も出演する。保村大和に遠坂百合子、この名前を聞いて沸き立たないわけがない。だってあの黒川フランクとカルリシアだぞ!!
シャトナーさんの非公式RT(引用RT機能未実装時、コメント付き引用リプをまだそう呼ぶ時代だった)で知り、劇団Patchについての事前知識が何もないままに、すぐさま観劇スケジュールに加えた。

余談だが、私が初めて自分の意思で生の舞台が観てみたいと思ったのが2000年。実現したのが翌年。キャラメルボックスが過去の公演で惑星ピスタチオとコラボしていたことからその存在を知ったのだが、惑星ピスタチオは2000年に解散していた。私は間に合わなかった。キャラメルでのミラノさんの客演さえも生で観ることは叶わなかった……!
それからしばらく間が空いて、たまたま見る機会を得たのが95年版の破壊ランナーだった。

私にとっての破壊ランナーは、演劇というものがいかに自由であり、無限の可能性があるんだということを最初に知らしめてくれた作品である。大げさだろうか。私は大真面目である。当時まだそんなに多様な舞台に触れていなかった、丁寧で親切でわかりやすい作品ばかりを見ていた私にとって、この作品との出会いはそれはそれは大きな衝撃だったのだ。
具体性のある、ぱっとみてわかるような明確なセットはない。役者の身ひとつで音速走行の世界を体現し、そこがどこで、何をしているのか、役者の演技力によって観客に想起させる。演劇の根底にある究極のごっこ遊び。役者に納得させる力がなければセリフも動作も上滑りになる。観客もまた、ただぼんやり眺めているだけではなく、想像力をフルに使うことで作品は更なる広がりを見せる。
「不可能なんてあり得ない」
「不可能に挑む」
それが作品のテーマ。
実際に私は、この目で音速のレースも巨大ロボ戦も見た。確かに私はあのレースの観戦者となった。すごいものを見た、と心底思った。

2012年、キティフィルム制作で上演された際に初めて生でこの音速のレースを観戦することができた。そして再会は早く、2年後。それが劇団Patchでの上演だった。
まだ劇団を結成して2年の若手俳優たちによって、あのがむしゃらで熱い熱いレースは繰り広げられた。


初めてのPatch現場の印象

先に述べたように、劇団Patchの存在はこの作品で初めて知って事前知識なく大阪へと乗り込んだ訳だが……正直に言うと、観劇するその直前までちょっとマイナスのイメージを持っていた。

日劇場入りして、ロビーに立つ役者と客の距離の近さにまず驚いた。小劇場の終演後の面会とかめちゃくちゃ苦手なタイプなので……(まぁ今も物販に立ったりして割と近い方だけど流石にそれは慣れた)たぶん常連なんだろうけど、いやもう普通に友達かよくらいのテンションでしゃべっている3〜4人組。劇団員だけど芝居に出ないエレガンス担当がいるというのをそこで初めて知った(いたんです)
客席のチラシ束の一番上にあったのは観劇マナーの注意喚起チラシだ。A4いっぱいに、大きめのフォントで、どれもこれも観劇にあたっての初歩的なマナーがずらりと並ぶ。マナーチラシが配布されるというのはTwitterで知っていたけれど、やっぱり実物のインパクトはすごかった。


こんな注意喚起しなくちゃならないくらい、まじでPatchの客席マナー悪いのか……この劇団大丈夫か……と、正直このあとの2時間半を覚悟していた。
ロビーでの客との距離の近さ(寧ろ馴れ合いという印象の方が強かった)を見た後だったし、更には前日マチネを観た友人(こちらも遠征組・初Patch)が作品と役者の演技は最高なのに客のマナーが最悪だった(椅子揺らす、笑い声が度を超えてる、堂々とステージ前を横切る途中退室、場違いな拍手etc.)と言っていたので余計に。
私の観た回はたまたま運が良かったのか特にマナーの悪さは目立たなかったけれど、作品と演技がどんなによくても客席運で残る印象が……という悲しい出来事はままあるので、今はほんと全体的にマナー向上して平和な客席になって良かったなぁと思う。
(当時のメインのファン層が観劇の基本的なマナー喚起をしなければならない程なら、まぁあのパンフが売れなかったのも分かるな?などとは少し思った)(当時、メンバーの身内やスーツの関係者のマナーが悪いというのは末満さんも苦言を呈していたが)


……とまぁ、覚悟をして臨んだ2時間半。
印象マイナスからのスタートの反動というのを差し引いても、本当に本当に熱く素晴らしい芝居で。本家を何度も見て知ってる内容なのに、それでもめちゃくちゃ泣いて興奮して、カタルシスが半端なかった。


終演後にはステージ上に並んだ劇団員たちとのハイタッチ会が用意されていたのだが、私はそれに参加しなかった。
ものすごく良くて、本っっっ当に良くて、だからこそまだその余韻を壊したくなくて。アンケにはとにかく『関東からこのためだけに来ましたがすごくすごくよかったです!!!』というようなことを書きなぐった上で、ハイタッチ会には参加せずにそのまま足早にABCホールを出た。今にして思えば、その興奮を直接伝えることができる貴重な機会だったんだけど……直後って本当に言葉が出ないんだよなぁ……じっくりと反芻して、こうして文字にするのが性に合っていて。

もしもPatchでの再演があるのなら、次こそはちゃんと感想を伝えたいなと思う(さすがにもうハイタッチはないと思うので手紙で)あとこんな朧げな記憶頼りの感想ブログじゃなくて、メンバーの人となりを知った今だからこその感想ブログ書きたいので。

だから頼む、いつか再演してくれ……!!!



セット


サーキットのような、あるいはピットのような、あのセットが本当に好き……今でも写真を見返す度に惚れ惚れする。いやほんと、めちゃくちゃかっこよくないですか。シンプルでありながら存在感もあって。
客席に着いてまず目に飛び込んできたそれにめちゃくちゃわくわくしたし、実際に舞台の幕が上がればスロープの間からのランナーたちの入場、その上段を駆け抜けたり、あのスロープを駆け上がったり駆け下りたり。色々な顔を見せてくれた。
駆け抜ける、といえば、前傾して並んだ役者たちの背中の上を踏みつけて駆けていくシーンもあったし、跳び箱のようにひょいと跳んで追い越すシーンもあった。縦横無尽に駆け回る立体的なソニックラン。その身軽さや身体能力の高さに、否応なくテンションが上がった。


キャスト

(本当に記憶がアレなので一部のみ言及に留めます)

↓まだ名前が変更される前の配役発表。


豹二郎ダイアモンド:竹下健人
ビジュアルが公開されてまず度肝を抜かれた、かつての豹二郎を演じた腹筋善之介を彷彿とさせる竹下健人の矢印型のヘアスタイル。もうそれだけで意気込みが違う。イケメン芝居なんかやってやらんぞ、という覚悟と気迫を感じて良い(イケメン芝居をdisっているわけではなくて本作には必要なかったという話)
アローヘッドであることで、豹二郎ダイアモンドというキャラクターも見えてくる。気の強さ、目立ちたがり屋、変人、最速への拘り、ラストへの布石……別にわざわざ髪型を変えずとも演技はできるだろうけれど、この時点での健人くんあるいは劇団Patchには必要な演出のひとつだったんじゃないかと思う。
この役で彼は2014年上半期の「関西Best Act」役者部門に選出された。

スガタ・ハイウィンドウ:井上拓哉
ピスタチオ版におけるヒロインのリンコ・スカイウイングは、本作では主人公の親友、スガタとして登場する。演じるのは当時のPatch最年少、高校生の井上拓哉。95年版の上演と同じ年に生まれた彼が演じるというだけでもう時の流れを感じる……ちなみに本番中に高校の卒業式を迎えた(そこだけはイベント回になっている)

恋人ではなく親友。
豹二郎とリンコ(スガタ)の関係性が変わることで、この作品はより熱く、ストイックに、友情・青春の色が濃くなった。努力・友情・勝利……もはや少年ジャンプと言ってもいいだろう。
親友。それは対等な関係だ。スガタはソニックランの元チャンピオンで、豹二郎にソニックランを教えた存在であるけれども、本作において2人は対等な親友で、そして大切なライバルだ。
演じるPatchの面々は当時24〜18歳。何度も言うようだが劇団結成からまだ2年だ。若くて体力があってがむしゃらで。今と比べればやはり演技力は発展途上中。集団内での切磋琢磨、負けられないライバル、友情……けれどだからこそ、彼らの関係性を活かすためにもスガタは本作で親友というポジションに落とし込まれた。それらは稽古を経て研ぎ澄まされ、音速のレースにおいて否応なく発揮される。
その身ひとつでどんな状況なのか表現しなくてはならない。目に見えない、想像の世界の音速のレースを体現しなくてはならない。シャトナーさんの考案したカメラワーク演出には役者たちのまとまりだって必要だし、1人何役もこなすスイッチプレイには演じ分けが必要だ(パンフに全役掲載されていたけれどとんでもない数である)あの前傾姿勢のランニングフォームの維持で腰は辛い。ものすごく大変な作品。
自分で脚本を書き下ろす時間がなかったからというのは本当だろうが、あのタイミングで末満さんがPatchに『破壊ランナー』へ挑戦させた意味がとても理解できる。結果、素晴らしいレースや関係性が表現されていたと思う。
ラストの豹二郎とスガタのソニックラン。伸ばした腕。指先。あの一瞬のような、あるいは永遠のような光景が本当に美しくて……私はただただ泣いた。


キャデラック:中山義紘
キザでスカして、レース中だってのにタバコをふかして、気まぐれでレースをリタイアするそんな自由さに人気が集まる万年リタイア男、走る根性なしと謳われるキャデラック!『ごちそうさん』は多少見ていたかな……程度だったが、やはり安定した芝居で存在感があった。最高にキザで、ほんの少し陰も匂わせて。タバコふかす仕草めちゃくちゃ格好よかったな……


蘭堂真紅郎:杞山星璃
本家でいうところのカルリシア。本作ではオリジナルを演じた客演の遠坂さんにその名を譲り、刀を腰に帯びて走るやべーやつ武士?になった。普通に考えると音速で余計なものを身につけて走るのって空気抵抗的な意味で非常に危ないのでは……でもそれを可能にするのが真紅郎なのか。
ストイックに頂点を目指し、豹二郎に挑戦する部分はオリジナルと変わらない。


ライデン:三好大貴
豹二郎の壁となり立ちはだかるチームアロイのランナー、ライデン。ランニングフォームがとても美しかった。末満さんもかつて演じたライデン。彼が強くなければ、強く見えなければ、この作品は成立しない。ライデンの存在なしにラストのカタルシスはありえないと言ってもいい。
豹二郎との勝負に対する執着。自らの強さ、存在理由。豹二郎とライデンが並んだあたりから私の涙腺は崩壊していた……そしてバーストの瞬間……走り続ける豹二郎……最高だった。らんくんがライデンで本当に良かったと思う。


ミラージュ・ミストレイ:松井勇歩
ごめん、お面のインパクトしか覚えてない……でもそのインパクトが強かったことは書いておこう。8枚のお面をそれぞれ被って分身のように見せて走るんだったかと思う(蜃気楼走法)
なおこのお面は次のイベントでの衣装・小道具抽選販売会で売られた(チェキ付き8枚セット8k)


黒川フランク:保村大和
チームアロイのオーナー。ピスタチオ版、及び2012年版から引き続き、Patch版でも演じているのはレジェンド保村大和!(2017年版では黒川フランクの上司・タイベリアス提督役)
けれどもそれまでの公演と何が違うかと言われれば、Patch版の黒川フランクはパン一に全身網タイツにヒールを履いたボーイズたち(繭期に分かりやすく伝えるなら、まんまダリ卿の椅子人、しかもDステ版をより濃くした感じ)を従え、高らかに歌いながら登場するのだ!!!
「決して枯れることもなく〜」から始まる黒川フランクの登場シーン。元々の演出でも(なんや変なやつ出てきた……)と感じさせるには十分なものだったけれど、歌う黒川フランクなんて後にも先にもこのPatch版だけだよ……登場のインパクトとしてはあまりにも大きく、黒川フランクというキャラを最大限に立たせる演出だったと思う。最高だ。
ボーイズ演出、目を患っている大和さんの、その補助的な意味合いもあったのかななんて今にすれば思う。
それからこの作品の名シーン(迷シーン?)としてお馴染みの「スタンプぺったん」も健在。スパイクと顔を見合わせ出方を伺う緊迫したあの掛け合い、大いに笑わせてもらった。
また元気で舞台に立っているお姿が観たい……そう願うばかりだ。


おまけ

冒頭に貼ったダイジェストを再び貼るよ(2:07〜2:51)

【劇団Patch】劇団公演ダイジェスト動画


これは稽古場映像で構成された予告編。
これはこれでエモい……

Patch stage vol.4「破壊ランナー」予告VTR

解説していいですか。しますね。
ダイジェスト動画で使われているのは私の大好きな、群唱から始まり、順にスターティングポイントへついてからのクラウチングスタート。通常走行からやがて音速走行へと突入し、集団がばらけて2707年のソニックラン、ワールドシリーズ第1戦、ユーラシアサーキットが開幕するオープニングシーン……はい、最高ですね。ここは予告編の方にもまさに冒頭から収録されているので(〜0:40くらい)是非見比べていただきたいところ。やっぱりセットがあって衣装を着て照明に照らされているとぐっと引き締まる……もっと長い映像くれ……
ちょっと記事を遡ってライデンの項で引用したらんくんのツイートに添付されている2枚目の写真を今一度見てもらいたいのだが、中央にどっしり構えたチャンピオン、豹二郎ダイアモンドの姿がとにかく格好良い。ワールドチャンピオンの風格!!
そしてこの音楽がまた格好良すぎるんですよ。セリフはなく、レースの始まりの静かな興奮を、そして加速を表現してくれる音楽とSE。強烈な逆光により表情が窺えないのがまたいい。照明はひたすら美しい。
ラスト、再び群唱が入る。
冒頭であんなにわくわくした同じ文言の群唱は、切なく悲しく美しく響き渡るのだ。

予告編の解説
0:50〜0:52/キャデラックと真紅郎の登場・インタビューシーン。
1:04〜1:06/DJ早井速三13歳!(吉本)膨大なセリフをめちゃくちゃ早口で捲し立てなければならないの本当に大変だと思う。
1:14〜1:30/黒川フランクのターン!山浦さんの演技を生で観たのもこの破壊ランナーが初だった……と繭期はしみじみする。
1:41〜1:43/取材陣に囲まれるトレオ(村川)とそれを退ける妹のアカネ(井上)「やめて!フラッシュをたかないで!お兄ちゃんは目が弱いのよ!」
1:44〜1:45/「我々リッチモンド四兄弟は、国際ソニックラン連盟に以下の要求を申し立てるものである」




↓これはあくまで2017年版上演の際の登紀子P(惑星ピスタチオ総合プロデューサー)の言葉だけれど……

こういう作品だからこそ、あの時のPatchが上演してくれてよかったなぁと思うのだ。

霧の中のお伽話── #HORIZON_TRUMP

演劇ユニットHORIZON 第13回公演『TRUMP』
清水文化会館マリナート小ホール
10/20(土)13:00 千秋楽を観劇

 

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TRUMP | 演劇ユニットHORIZON

 


STORY

舞台は、繭期(人間でいうところの思春期)を迎えた若き吸血種「ヴァンプ」たちを教育(矯正)するために設けられたギムナジウム(クラン)。 人間とヴァンプの混血(ダンピール)であるソフィは優秀だが、「汚らわしき者」として周囲から嫌悪されていた。完全階級社会であるヴァンプ界にあって指折りの名家の生まれであるウルは、忌むべき存在であるソフィになぜか心惹かれていく。 そんな中、ウルはかつてのヴァンプが持っていた「不死の力」について研究を続けるうち、永遠に生き続けているとされる原初の吸血種「トランプ」の存在を知り、永遠の命を渇望するようになる。 不死を失った吸血種の少年たちが、「生」を渇望し、永遠の命を持つトランプの不死伝説に翻弄されていく、儚くも美しいヴァンパイア・エンターテインメント。
※公式サイトより引用

 

CAST

ソフィ・アンダーソン:芝原 鴇
ウル・デリコ:星 万莉子
ティーチャークラウス:草野冴月
アレン・ストラウフ:河村夏葵
ラファエロ・デリコ:結城
アンジェリコ・フラ:市川 春
臥萬里:鴻野悠空
ピエトロ・ロンド:髙橋秋帆
ジョルジュ・ハモンズ:外山永梨
モロー・ガーランド:鈴木姫乃
ティーチャーグスタフ:天野 仁
ティーチャーミケランジェロ:蔭山ひさ枝(劇団渡辺)
ダリ・デリコ:光山 香
アンサンブル レオナルド:大場麗央奈
アンサンブル ジャン:安田佳音
アンサンブル ノア:菊森さくや

 

 

TRUMPシリーズ10周年記念企画のひとつ、上演権の解放で、この『TRUMP』という作品は2019年12月31日までに各地で上演が予定されている。
DVDには残らない公演だからこそ、こんな企画があってこんな風に演じていた人たちがいたのだということを、このインターネットの広大な海の片隅に記しておきたいと思ってこれを書いている。

ちなみに5月に他団体が上演したTRUMPの感想はこちら

hal-8.hateblo.jp


 

UST配信された再演Tが生みの親TRUMP(繭期には親TRUMPの概念があります)(やっぱり最初に観たもののインパクトは強い)
山浦クラウスの狂気怪演の衝撃で沼に足を踏み入れたのに2015年のNU版(=育ての親TRUMP)でラファエロとアンジェリコ様を拗らせて、いつの間にやらアンジェリコ様のオタクをしている繭期の感想です。

Twitterで垂れ流した呻き声はここに。多少内容が被っている点はご容赦を。

HORIZON_TRUMP感想 - min.t (ミント)


TRUMP以外の重大なバレはないので今回初めてこのシリーズに触れた人も安心してお読みいただけます。HORIZONさんのファンの方も!是非!レッツ繭期!!(記事の最後にシリーズ宣伝あります)

 

 

あっという間に千秋楽から一週間が経過してしまった。静岡のクラン。東京でも大阪でもない地で、地元の人に愛されてる劇団が上演するTRUMP。女流の、社会人劇団。専業役者ではないから、皆それぞれに普通に仕事をしながら半年も前から少しずつ稽古が始まって。ゆっくりと、じっくりと、丁寧に積み上げられてきた。

演出およびクラウス役の草野さんは重度の繭期とのことで!キャスティングはそもそも現実の人間関係を反映しているし、役者にはそれぞれのキャラが知っている情報だけを与える──ウルとラファエロとアンジェリコ様はグランギニョルを見てはいけないけれど、逆にダリちゃんはグランギニョル必修、などの視聴制限がかけられている。その上、役者それぞれに演出から秘密のオーダーが渡されている。
繭期のいち観客としてはこんな実験的な演出は面白いに決まってるし、万が一自分でTRUMPを演出をするのならきっと同じことをする。だって面白そうだから!
もちろん目の前の台本だけで自分の演技プランを組み立てることや、あるいは逆に全ての情報を取り入れた上で組み立てることも可能だろう。それでも、それぞれ演じるキャラと同じ情報しか与えられずに構築されたこのHORIZON版TRUMPは、だからこそリアルな繭期を見せてくれた。
専業役者を集めた公演ならばきっとひと月程度の稽古で済むのだろうけれど、仕事を掛け持ちしながら半年もの間、各々の繭期と向き合ってきたキャストの皆さんにとっては大変な苦労だったと思う。盛大な拍手を送りたいし、実際に客席から送ることができてよかった。

そういった面白い試みをしているぞ、という情報が劇団公式Twitterや演出の草野さんのツイートなどから読み取れたので、今年のTRUMP上演団体の中でもHORIZONさんのはとびきり楽しみだった。たぶん同じような繭期は多いと思う。
近隣の飲食店とのコラボメニューはどれも美味しそうだし、イメージアクセのピアスが片耳ずつなの……わかる(わかる)
席に着いたら、繭期の方と劇団のファンの方が楽しそうにお話をされてるのが聞こえたり。

2日間、3公演しかなかったのが本当に惜しい!
とても素敵なクランでした!

 

受付
「ようこそ、クランフェストへ!」
って言ってもらえたんですよ。チケットもぎりの時。
えっ嬉しい……ささいな一言だけど、会場入口に一歩足を踏み入れた時からそこはもう静岡のクランだった。そういう雰囲気作り、いいですよね。さながら我らは世界中から集まった名のある貴族なのだろうか(血の香水を振りかけて紛れ込んだ人間が妥当では?)

チケット販売方法はパスマーケットでの電子チケット。でもちゃんとロビーには紙チケットが用意されていて(引き換え済の印字あり)ご自由にお持ち帰りください方式。物販は小規模ながらも注文シートが用意されている。アンケや注文シート記入のための筆記具も当日パンフと一緒に渡してくれる。ロビー運営が丁寧なところって信頼できる。そう思いながら客席に向かった。

 

舞台セット
こんなに大掛かりなセットを組んでくれるんだ!というのが最初の驚きであり、そして嬉しかったポイント。あの中央に据えられた階段がまたいい仕事する!出ハケに使われる部分が額のように縁取られていて、絵画の中からあの淡い衣装の皆が出てくるのがお伽話のように感じる要因のひとつにもなっていると思う。
毎公演、舞台上に生花を活けるのがHORIZONさんの特徴とお聞きして気になっていたそれは、多肉植物や蔦や枝、ドライフラワーのようなものばかり。一見して生きているんだか、いないんだかなラインナップに、ソフィの遠い記憶の中の『懐かしき我がクラン』……滞る時の流れを感じた。

 

照明
最前に座っていたので余すところなく照明を堪能できたかと言われると難しいのだが(照明ってある程度引いたほうが綺麗に見えるよね)#HORIZON_TRUMPタグに投稿される撮影OKタイムのお写真を見るだけでもめちゃくちゃ綺麗だなぁってうっとりする。役者だけではなくて照明担当の方もちゃんとシリーズを履修して文脈を理解した上で当ててくれてるの嬉しい。デリコ家の兄弟は青春の発露もまた対照的でいいですね(頷き)
この度HORIZONさんの正式メンバーになられたそうで、おめでとうございます!

 

衣装
淡く明るい色のクランの制服。ビジュアルが解禁された時はびっくりした。とても新鮮だった。
再演はビビットな青と赤、Dステ版・NU版は濃色で、COCOONは白──本家にも変遷はあるけれど、そもそも制服の機能として、あの年頃の子供が着るには淡い色だと汚れが目立ちそうという先入観があるのかもしれない。貴族の子達はマナーがいいだろうし、クランに下男がいるなら洗濯してもらえるのかもしれないけど、あの年頃が階級・出自関係なく集められるのだからどうしたって喧嘩はあるし。COCOONはじめ最近は白で統一されてるけど、白は白で繭の中でどろどろに溶けて大人に変容する前の誰が誰だかわからなくなる感じが良いし、繭月はだからこそな仕掛けがあってしんどいのでおすすめ(しんどいけど)
でもこのクランは淡い色。彩度がある。上品で、とても優しい雰囲気。お伽話のようなクラン。だからこそ、展開する物語との温度差のギャップがまたしんどい。

物販で販売されたビジュアルブックにそれぞれのキャラの制服とか、衣装解説とか掲載されてるの、あまりにも嬉しいポイント。衣装はソフィ役の芝原さん担当だそうで。すべてを知るソフィが手がけた衣装、すごく好き。


音楽
やっぱりキャスパレに日本語歌詞曲もってくると本家とはまた違った印象を受ける。キャラの一挙手一投足を視界に捉えながらもストレートに歌詞が入ってくるから。最前、近すぎて逆に誰を観たらいいのか……(まぁ大体アンジェリコ様あたりを定点してたんだけど)(撮影OKタイムではクラウスの祈りを堪能した)
イニシアチブの水音、じわじわ侵食される感じがおぞましくて良い。一滴でも毒を垂らした水は飲めないように、使ってはならないはずのイニシアチブのタガが外れたら、もう戻れない。
公演後に使用曲プレイリスト公開してくれるのありがたいです(キャラメルで育ったので!)

 
コラボメニュー
1店舗だけじゃない、いくつもの地元飲食店とのコラボ。現在も発売中のものや、レギュラーメニューになったものまで。本家でもやってくれないこと(マリゴ展の時に少しだけあったけど)を地元を盛り上げるという形で実現してくれるの嬉しい〜〜〜〜〜!Win-Winでいいなぁと思います。ありがとうございます。

 

キャスト 

・ソフィ・アンダーソン:芝原 鴇
すごく少年!14歳の少年!敵意や悪意には強いけど好意を受けることに慣れてないから戸惑ってしまうの、も〜〜〜〜〜愛おしいね……知らなければ希望を見出さずにいられたのに。『友達』を知ってしまってから奪われる。自分を殺そうとするウルの手を引き寄せるの、あまりにも……あまりにも……ウッ
クラウスに咬まれた時のあの足をジタバタさせるとこ本家でもすごく好きなシーンなんだけど(生物の反応としてあまりに生々しくて)芝原ソフィのそれもまた良かった……

ラストシーンの、力いっぱい星に向かって手を伸ばす姿と、耳の痛くなるような静寂の中で小さく漏れ出た「……届け、届け」が目に、耳に、焼き付いている。これまで永い永い生に飽いて自身もまた得体の知れない者へと変容し、静かな怒りと決意とが込められたあのポーズのソフィを何人も見てきたが、まだひたすらに、こんなにも必死に、ぎゅっと目を瞑り懇願するように死へと手を伸ばすソフィは見たことがなかった。彼はたったの14で時を止められてしまった、永遠を彷徨わねばならなかったのだという残酷な事実を再び突き付けられた気がした。

 

・ウル・デリコ:星 万莉子
すらっと背が高くて(聞くところによると兄さんより高いとか)ソフィの顔を覗き込む時に持て余された足に萌えてた。でも胸を張れない子。その挙動には常に陰翳が張り付いている。

耳を抑えるような、頭を掻き毟るような、本家とはまた違った苦しそうな仕草が印象的だった星ウル。その理由は、演出から渡された秘密のオーダー。

グランギニョルを履修した者には納得オブ納得。故に残酷。子は親に似るじゃないけど、繭期ってすえみつおじさんに似るよね……(褒めてる)(そしてその例えは別の意味でもブーメランするのだ)
そんな状態で出来上がった星ウルは、本当に優しい子に育った。だからこそ苦しかったよなぁ。グランギニョルの実況を見届ける日が楽しみでもあり、怖くもありますが……心を強く持ってほしい。

 

ティーチャークラウス:草野冴月
物語上においても、このHORIZON版TRUMPを上演するにあたっても要の人物。現役生物教師によるTRUMP考察、大変興味深かったです。未読の方は是非。

note.mu

クラウスの淡いベージュのコートは、あのグレーを基調とした生徒の制服や黒ベースの大人組の服とも違って、生徒に混じるにも大人組に混じるのも異彩を放っているというか……文字通り彩度の話。あんなに淡くて儚くて綺麗な色味なのに、アレンの告白を聞いた後の処理落ちしたような「…………えぇ?」とか、ウルを撫でた後に「あなたの血はいい匂いがしないんです」と言い放つクラウスの底冷えの感情。この感想記事のタイトルを『霧の中のお伽話』としたけれど、その流れで例えるなら『本当は怖いお伽話』だ。

私はクラウスや、あるいは『SPECTER』の某キャラのことを小野不由美著『屍鬼』の沙子を重ねて観ているところがある。自らが望んだわけでもない運命と、超えられない壁に阻まれて竦む姿と。けれどもそれを免罪符には決してできない、その残酷な所業と。

周りが勝手に祀り上げて、勝手に信仰して、勝手に供物を捧げて、監視されて、そんなクラウスのたったひとつのワガママ。アレンと友達になりたかったはずなのに。永遠に向こう側へ行ってしまった彼のことを100年拗らせたクラウスは、手段と目的が入れ替わってしまった。
ソフィには興味のないクラウス。アレンの血に手が届いて──満足して、目的を達成してしまった現在のクラウスは、だから海の底で眠っているのだろうか。

 

・アレン・ストラウフ:河村夏葵
幼いでもなく、俺様ホストでもなく、天真爛漫というわけでもない。妖精か天使か、幻みたいなアレン。か細く、囁くような声。とても新鮮だった。河村アレンはセイレーンとかそういう類のものなのでは?少なくとも、この霧の中のクランに住まうクラウスにとっては。
このアレンは捕まえられない。永遠の憧れ。蜃気楼のような揺らぎ。そう例えてしまうのは安直だ。アレン・ストラウフは確かにあのクランで生きた少年だ。生きたから、死んだ。
回想のアレンと現在のソフィが入れ替わるシーン、セットの階段ですれ違わせるのめちゃくちゃよかった。美しい光景だった。なんで映像に残らないんだろ。

 

ラファエロ・デリコ:結城
私、結城ラファエロめちゃくちゃ好きです(告白)
NU版ほど大人びてもいないし、Dステ版やCOCOONほど等身大の子供でもない。本当にギリギリのラインにいる感じ。TRUMPと繭月を履修された結城さんのラファエロは、背負ったものの大きさと、憧れた自由と、ただ愛されたかったという苦悩で危うく揺らいでいる。「大切な友人は3年ほど前に失くしました」を公演後のツイートとはいえ、はっきりと口に出せるのは貴重なラファエロだと思った。アンジェリコ様と決裂したあの日から、一人で抱えるものが大きくて困ったろうな。

こんな騒動がなければ、もしかしたら繭期を越えられるかもしれなかった。アンジェリコ様と二人、彼らの父たちと同じように血盟議会で並び立つ日が来るかもしれなかった。クラウスといい、繭月の変態繭期オタクおじさんといい、あるいはグランギニョルといい、本当に、繭期はすべてを狂わせる……

終演後に撮影OKのキャスパレ再演を袖で待機してる時にアンジェリコ様と顔を見合わせて笑っていて、あぁこんな2人がいたかもしれないのになと切なくなった。
結城さんの祭壇に在りし日のデリコ家の肖像とアンジェリコ様とのお写真が飾ってあるのしんどみ……すき……


・アンジェリコ・フラ:市川 春
夢ドブネズミ、アンジェリコ様に光る棒を振れる日がくるとは思わなかったよ。えーんもう、めちゃくちゃ嬉しい〜〜〜〜〜!次なる夢は「嫌がらせだなんて、随分と人聞きが悪いですね」のあとの「「アンジェリコ様〜〜〜〜〜!!」」をジョルモロと一緒に高らかに叫ぶことです(真剣)

本家がアンジェリコ・フィーバーであるのに対して、こちらの登場シーンはアンジェリコ・タンゴ。使用曲はRaujika「Start」

Strat

Strat

  • Raujika
  • エレクトロニック
  • ¥150
  • provided courtesy of iTunes

music.apple.com

薔薇を客席にお飛ばしになる優雅さ。さすが名家フラ、輝きが違う()
このタンゴ、いま改めて聴いてみると春ジェリコ様にぴったりなんだなと思う。本家のゴリゴリにロックなあの苛烈さとはまた違った温度感。HORIZON版TRUMPはみな総じてそうなんだけど、優しくて、寂しい。だから春ジェリコ様の登場に使われるのはこの曲だ。あぁ、やはり登場曲とは自己紹介曲なのだな……(アイドルか?)(光る棒も振ったわけだし)

秘密のオーダーは『勉学も剣術も、誰よりも努力家。隠れたところでこっそり特訓をしている』
はい、ありがとうございます。
COCOON 月の蔭り』での好きなアンジェリコ様の台詞のひとつに「咬傷行為は血盟法で禁じられている」があるんだけど、彼本来の高潔な、立派な貴族であろうとする真面目なところが垣間見えて好きなんですよ。偉大なる父のような立派な吸血種になるために、フラ家の名を負う者として陰でたゆまぬ努力をしている。
そうして努力を重ねてきたアンジェリコ様が、世界中から名だたる貴族が来訪する──偉大なる父も来るかもしれない、これまでの日々の努力のお披露目に相応しいクランフェストに期待しないはずがない。だから「貴様らのせいでせっかくのクランフェストが台無しだ!」で激昂するアンジェリコ様がただただ哀しく、愛おしい。あれだけのことをしておきながら、彼を待ちうける罰は父からのものではない。

愛されたかった子供。振り向いてほしかった親友。あの薔薇を本当に送りたかったのは誰かな。


どこのTRUMPでもそうだけど、その座組だからこその組み合わせ……このソフィにはこのウル、このラファエロにはこのアンジェリコ様、みたいなのがあって。HORIZON版TRUMPももれなくそう。だからこそREVERSEで輪廻したらどうなってたかな、とちらと思ってもみたりする。
※本家のTRUMPにはTRUTH/REVERSEの2パターンがあり、交互に上演される。作中の「生まれ変わったら僕は君になりたいな」というセリフの通りにREVERSEでは対となる役を入れ替えて上演されるのが特徴

 

・臥萬里:鴻野悠空
・ピエトロ・ロンド:髙橋秋帆
鴻野萬里がさ〜〜〜〜〜もうめちゃくちゃ優しい。ソフィを見つめる表情がほんともう◯◯のそれ。「ソフィ・アンダーソンか……」の声音といい、表情といい、あとやっぱ医務室からソフィを連れ出した後にめっちゃ怖い表情でダリちゃんを殴りに戻ってくるところまでワンセットで最高(オタク特有の早口)(ろくろ)

ピエトロの最期のシーン、本家よりも長くドラマが展開していて。なかなかピエトロに焦点当てた本家の裏話は多くないけど、人間で、ヴァンパイアハンターな彼にもいろんな事情があったんだよなぁって観てた。髙橋さんは公演後にいろいろなピエトロ裏話をしてくれて、ピエトロ・ロンドというキャラがより広がった気がする。


・ジョルジュ・ハモンズ:外山永梨
・モロー・ガーランド:鈴木姫乃、髙橋秋帆
HORIZON純血倶楽部がマッドバーニッシュなの大勝利です!!!COCOONで繭期キマってる時にプロメア見たもんだからリオくんはアンジェリコ様だしマドバは純血倶楽部だ〜〜〜〜〜してしまったので(このテンションで感想文まで書いた)

長い時間をかけて準備してきてあとは本番を迎えるばかり、というタイミングでモロー役の鈴木姫乃さんが交通事故で入院。ピエトロと兼役で髙橋秋帆さんが代役。モローだったら役柄的に本を持っても大丈夫なキャラだからとカンペを作ってもらっても「台本は見ない!」と当日の朝5時までセリフ入れをしたそうで。
千秋楽の一言挨拶でそんな事情も伺って、そりゃあいつ何時なにがあるかわからないのが人生だけど、よりにもよってこのタイミングだなんて残酷すぎる……鈴木姫乃さんの早期回復を心からお祈り申し上げます。

髙橋モロー、急な代役で本当に大変だったと思うけれども、観ている最中は事情を忘れて物語に没頭できたし、ちゃんと鈴木モローもいました。ジョルモロは確かにジョルモロでした。アンジェリコ様に寄り添ってくれてありがとう。彼らと共に光る棒を振れたことが嬉しい。

 

ティーチャーグスタフ:天野 仁
ティーチャーミケランジェロ:蔭山ひさ枝(劇団渡辺)
客席を彷徨いアレンを探すクラウスを舞台上に引っ張り上げてあげるグスタフ優しい。やっぱりこのクランは総じて優しい。見えないティーセットを掴まされたミケちゃん……「今度は何を掴まされたんだ!?」ってグスタフに心配されるあたり、常習なのかもしれない。大丈夫だろうか。いやしかし、公演後に「ミケランジェロはクラウスだけでなくグスタフも監視していた」という裏話が聞けたので、これすらも演技なのかもしれない。柔と硬、バランスの良いティーチャーコンビだった。

 

・ダリ・デリコ:光山 香
やっぱ\ダーリちゃーーーん!/できるのは楽しい……デリコ家秘伝の技の伝授、ラファエロにまで無茶振りをしていたけれど「大切な友人に使うのだぞ」どの口が言うのか〜〜〜〜〜って掴みかかりたくなる。だがギニョルを履修した繭期は黙るしかないのだ……(繭星でまた少し怒りが復活する)

デリコ家はお辞儀の仕方が同じなの、ニコニコしてしまった。お父様に憧れてるんだよねぇ。


・アンサンブル
 レオナルド:大場麗央奈
 ジャン:安田佳音
 ノア:菊森さくや
この3人のバランス良かったなぁ。ぐいぐい前に出る斬り込み隊長レオナルド、真面目で大人しいノア、目立ちたいけど空回りするジャン。
レオナルド、ラファエロに胸ぐら掴まれるの羨ましい……あれはご褒美。

ハイエナーズの秘密
レオナルド「ウルが好き。──というのも、デリコ家にとりいって出世しようと思っている」(レオナルド本人は気付いてないけど、“恋愛的な意味”でもウルを好き、という秘密も役者個人で持っている)
ジャン「他を出し抜いて出世しようと思っている」
ノア「実はソフィのことをそれほど嫌いじゃない」
このバラバラ感〜〜〜〜〜!でもいつもまとまって一緒にいるの、思春期の学生〜って感じで良い。ラファエロの事をよく見ているからこその「あれ、血じゃないか?」「まさか……」みたいな台詞があるのもいい。

 

 

視聴制限というのはとても面白い試みだけど、それを成し遂げるためには演出家に対するこれまでの信頼とかが必要だろうと思う。ある種の正解とも言える何かが既にあることがわかっているのに、座組の中にそれを知っている人もいるのに、自分は知ることを禁じられる。もどかしいし、イライラするはず。不安にもなるだろう。
草野さんが重度の繭期であるという点はもとより、それでもこれをやれば芝居が面白いものになるんだと座組みんなが同じ方向を向いていたから出来ることなんだろうな。客演の方も含めて、いい劇団だなぁと思った。

 

 

HORIZONさん、衣装展とトークショー、通販ショップやるってよ!
制限されていた情報を順次履修したあとのトークショー……わぁい、しんどみ。オタクの見たいもの見せてくれるHORIZONさんすき(すき)演出は燃やされるのかな……とても心配ですね……
パンフの衣装解説よかったので気になる方はゲットすると良いですよ!

 

 

 

 

 

 

さて、シリーズ宣伝のコーナーです。HORIZON版TRUMPから興味を持った方がおられましたら、是非、このシリーズ10周年という記念の年に!足を踏み入れていただければ何よりです。シリーズ知った上で思い返すHORIZON版TRUMPもねぇ、しんどいっすよ……(褒めてる)衣装展トークショーを全力で楽しむために、いかがでしょうか。
以下、ただの繭期による個人的な視点からの宣伝です。

・『TRUMP』2009年、2012年、2013年、2015年
今回上演された脚本は2015年のNU版なので、是非こちらの本家も見てほしい……NU版からシリーズ展開を意識した脚本にブラッシュアップされていて、役者は全体的に平均年齢高め。初演時コンセプト「中年俳優による擬美少年化芝居」に回帰したかも。音楽室でのお歌が上手い。Amazonでは取り扱いがないのでナッポスユナイテッドの公式ショップからどうぞ。

nappos.shop-pro.jp

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等身大の繭期、こと2013年のDステ版は今をときめく?志尊淳、山田裕貴etc.も出演している(BD版だとT/Rの配役をさらにシャッフルしたMARBLEダイジェストも収録)ブラッシュアップ前の脚本、ギャグ多め、故に台詞の変化とか見ると興味深い。とりあえず見てみたいという場合にはニコニコチャンネル(月額324円)もあります。

Dステ12th『TRUMP』Blu-ray
 

sp.ch.nicovideo.jp


2012年の再演はREVERSEとFEMALE(全員女性版、設定も微妙に違う)が少しだけYouTubeで見られるので興味があれば是非。


TRINITY THE TRUMP -reverse- 【冒頭部分】


TRINITY THE TRUMP -female- 【冒頭部分】


・『LILIUM─少女純潔歌劇─』2014年
TRUMPのあとに是非とも見てほしい少女たちの物語。リアル繭期ともいえる年齢のアイドルが演じた、シリーズ屈指の名作。これを、アイドルに演じさせる、その残酷さときたら……!歌と踊りが本業のアイドルによる歌劇。全円スカートのひらみは最高。
『LILIUM感謝祭』というLILIUM振り返りトークショー&書下ろし新作短編演劇『二輪咲き』&劇中歌ライブが収録されているDVDも存在するのだが、こちらは完全受注生産のため現在は入手不可能。是非、お近くの繭期にお声掛けください。

 

・『SPECTER』2015年、2019年
萬里の話です!なんであんなに鴻野萬里がソフィに優しいのか、彼の歴史も見てほしい。再演のキャスパレがあまりにも、あまりにも良い……両方を見比べるとまたエグかったりすんですよ某台詞とか……あと某キャラの生死とか……

 

・『グランギニョル』2017年
SPECTERの裏で起こるデリコ家の事件。若き日のダリ卿、そしてアンジェリコ様のお父上であるゲルハルト卿も出てくる。圧倒的な美の暴力。は〜〜〜〜〜……しんどみ。でも絶対見てくれ。

 

・『マリーゴールド』2018年
LILIUMにも出てきた少女と関係する、母と子の話。ソフィ、ウルも登場する。マリゴソフィはDステ版Tウル/Rソフィを演じた三津谷亮。元宝塚雪組トップコンビの壮一帆・愛加あゆの出演に界隈も沸いた。油断してたら開幕5分で殴られた思い出。


・『COCOON 月の翳り星ひとつ』2019年
11月に円盤が出ます。ラファエロとアンジェリコの友情と決裂を描いた「月の翳り」、TRUMPのウルの視点で描かれた「星ひとつ」、シリーズ10周年のひとつの区切りの作品。事前にあらすじも配役も公開されないという仕様のため、Twitterでは様々な隠語が飛び交いネタバレ防止策を図っていた。しかし演者には大体筒抜けである。ところでこんな実験は、こんな悲劇はもう二度と繰り返さないでほしい……(ネタバレ配慮で本番衣装での個人ブロマイドが出なかったの、ビジュアル最高だっただけに本当に悔しい)
ちなみに月の翳りには藪からキュート(隠語)な子がいましてね。めっちゃ推してます(宣伝)

 


あと末満さんの公式チャンネルに課金するとパンフに掲載されたシリーズ短編小説が読めたり、公演後にぶっちゃけられる裏話(しんどい)が聞けたりするのでよろしくお願いします。本当に、しんどい。それをこんな酒呑みながらのニコ生裏話で済ませられちゃうこともしんどい。水晶の柩とか売ってないで公式設定資料集出して貢がせてほしい(聞いてるか偉い人〜〜〜〜〜!!!)

sp.ch.nicovideo.jp


良い繭期を!

 

 

劇団壱劇屋『Pickaroon!』

 

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あらすじ

記憶を失くした私のたったひとつの手掛かり。
傍に落ちていた7冊の日記。
少女と七人の盗賊が描かれたそれは、
私のこれまでの人生が詰まった物語。
かつて“お姫”と呼ばれていた私。
ページに残るは、想い出の言葉たち。
記憶の欠片を抱き締めて、私は旅に出る。

 

出演

岡村圭輔
柏木明日香
小林嵩平
竹村晋太朗
谷美幸
西分綾香
丹羽愛美
長谷川桂太
日置翼
藤島望
松田康平
山本貴大
(以上、劇団壱劇屋)

竹下健人(劇団Patch
立花明依
池未来実
池ヶ谷明杜
石黒さくら
豊田真丸
西辰蔵
御歌頭(墨絵師)

 

stage.corich.jp

 

youtu.be


7/26(金) 19:00回観劇

生で観るのは初めての壱劇屋さん!
6/22の無料配信で観たwordless舞台『独鬼』が大っっっ変良くて、もうこれでもかとだばだばに泣いて、その勢いでチケットを取りました。その選択に間違いはなかった……!!!
今作『ピカルーン』はwordlessではなくて台詞のある殺陣芝居。それでも物語の根底にあるものは同じだったな……「いいものを観た!」そう素直に言える作品でした。
池袋はなんだかんだよく劇場に通っているけどシアターグリーンも初めてだった。初めての劇場で、初めてナマ観劇する壱劇屋さん。いい出会いだったし、このご縁は今後も大切にしたいと思いました。


あらすじの時点で予感はしてたんですけどまんまと疑似家族特攻がキマりましたね。はい。えぇ、私、疑似家族がめちゃくちゃ大好きなんですよ。最高でした。

本来、ただの敵同士だった七賊。天子様の宝を狙ってたまたまそこに居合わせた盗賊たちが、ただの他人同士の寄り合いが、か弱き赤子のもとにひとつになる。その笑顔を守るために。その成長を見届けるために。
泣くかなと思ったけど、最後までずっと笑顔で観ていられました。いやなんか泣いてる暇がないというかね……もう楽しくて楽しくて。こう来てほしいなという展開が来てくれる王道感。息もつかせぬアクションに次ぐアクション。
御姫の純粋さ。覚悟を決めた盗賊たち。立ちはだかる敵にも魅力があって。アクションモブの仕事ぶりも素晴らしい。


少年漫画で言ったらこれ、めちゃくちゃ熱い36P一挙掲載!みたいな読み切りだと思うんですよね。漫画雑誌のあのガサガサした、たまにインクが擦れて指につくような再生紙をめくる度にワクワクする感覚。もちろんこれだけでも十分に熱い物語なんだけど、続きが見たい!また彼らに会いたい!と思わせてくれる。過去も知りたいし、スピンオフだって欲しい!!!!

きっと連載が始まる時は御姫が異国で新しい仲間に出会ってこれから家族を取り戻しに行くんだ!ってとこから始まるわけですよ。連載版では新しい仲間との会話きっかけにちょっとずつ回想入る形になってるし、仲間たちに助けられながら辿り着いた場所で「力石さん、助けに来たよ…!」「……御姫?」なんてシーンが見開きドーン!てあるんですよ!オタクにはもう"""見え"""てるんですよ!!!!(※妄想です)


うぅ、台本買えば良かったなあ。とりあえずクラウドファンディングで課金します。円盤販売予定がないらしいので映像はここでしか手に入らないぞ……!

motion-gallery.net


大阪の劇団が東京でも上演してくれる、それはとてもありがたいことです。東京は東京で数多の作品が上演されているけれど、壱劇屋のこの『ピカルーン!』は今この時にしか上演していないのだ!

御姫と!七賊に会えるのは!
7/29(月)まで!!
池袋シアターグリーンの一番右!BIG TREE THEATERにて!!!

ちょっとでも気になった人には是非とも、彼らの物語に出会ってほしい!!!!
そして私とこの燃えと萌えを共有してくれ!!!

 

 

各キャラ感想とかはまた改めて。
千秋楽に"""間に合う"""人が1人でもいればいいなぁ!

 

 

 

【8/5 追記 各キャラ感想】

あっという間に東京公演も終わってしまった……!全公演お疲れ様でした!!

以下、本編に触れたり妄想成分も多めに混じった感想です。オタクなのですまんな……(ゲンドウ

 

壱劇屋流殺陣芝居ではお馴染みとなりつつある、「映画ならCGが使用されているであろう演出を人力で表現する」=「人間CG」も随所に登場。演劇だからこそ実現できるものを、映像にも負けない迫力で舞台上に顕在させる。

壱劇屋さんのこの演出手法がとっても私に合ってたなぁ〜というのがまず率直な感想。あんまり映像多用してる舞台は得意ではないというか……もちろん効果的な演出であれば楽しめるのだけど。

西田シャトナー作品に親しんでいることもあり、伊武の変容シーンとか、紙研の操る無数の紙の動きとか、ただのセットの階段がアクションの手によって縦横無尽に動き回り時には処刑台になったりするとか……あれらがとても肌に馴染むのである。

役者の身体表現・演技力×観客の想像力で無限の可能性を広げ、作り上げられる舞台……そういう作品とっても好きなんですよ。


BGMでFGOの曲使われててびっくりしたな〜〜〜〜!びっくりしすぎて曲に意識がいってしまってそのシーンの台詞よく覚えてないので不覚オブ不覚。いや〜あまりにも聞き覚えのある曲だったもんで……(最近ログイン途切れてるけど)

全公演終了したということは★5七賊ピックアップくるんじゃないですか?ラスト、あの流れですよ?絶対課金するしかないじゃん???

力石:セイバー、由良:アーチャー、角:アサシン、飛:アヴェンジャー、伊武:キャスター、紙研:ランサー、男虎:バーサーカー

こうかな……?(※FGOしかやってないにわかの発想。異論は認める)

 

 

・御姫(池 未来実)

可愛い〜〜〜〜〜!!!!!みんなのアイドル、みんなの娘、みんなの宝物!みんながメロメロになっちゃうのも頷ける。

14歳、初舞台の池さん、初々しかった。カテコで袖にはける時に毎回客席に向かってぺこっと一礼するのがまた礼儀正しい御姫らしいし可愛いなぁってにこにこしちゃったね。

みんなに愛されて守られた御姫。私にはすでに御姫が異国で新たな仲間と出会い、成長して、「今度はわたしが助ける番!」って家族を取り戻しに行く物語が見えているし、一人一人に再会するシーンも目に浮かんでいるんですよ……(ろくろ)

御姫はそのうち物書きになって彼らの活躍を後世に残したりしてくれたらいいなぁ。そしたら英霊化して七賊ピックアップも夢じゃないよ!!!(夢だよ)

 

 

・義賊の力石(竹下健人)

義賊!やらない善よりやる偽善、とは言うものの。そんなの裏切られるフラグじゃん……!とひしひしと感じていたわけだが……彼は優しいんだよなぁ……自らが手を差し伸べて慕われた民衆に恨まれ、追い詰められ、ついには御姫のために自ら手にかける……由良とぎゃーぎゃーやってるのも微笑ましいし、まっすぐな健人くんの笑顔が眩しいもんだから、後半の辛そうな表情とその序盤との対比がまた切なくなるんだよな。

どうにか生き延びててほしいし、御姫が異国で出会った新キャラ(同じ年頃の少年)連れて戻ってきたら「お前誰だ?うちの御姫に手ェ出してねぇだろうなァ〜〜〜〜ァァン?」て親バカやってほしい(七賊と再会する度にやるお約束)

 

 

・牙爆の由良(山本貴大)

死に際がとてつもなく格好良くて惚れる。いや、まだ死んでませんけど。死んだという明確な描写はないですけど!!!!(オタクは行間を都合よく解釈する生き物なのである)

とにかく死に様が格好良いということはその生き様が格好良いということなのだ……(ろくろ)

マスクもゴツいし言葉も荒い、でも本当は優しいし気のいい兄ちゃん。御姫にプレゼント買う時の喧嘩する親バカたちかわいい。

炎の表現が良いですよね。暗い舞台であの赤い布が舞うの、一際鮮やかで美しかった。

生存してたら義足で……っていうあれ、是非とも死んだはずの佐久間(後述)と再び対峙して死に損ない対決して欲しいんだよなぁ〜〜〜〜〜!!!

 


・兄妹盗賊の陸上 角(小林嵩平)、陸上 飛(西分綾香)

角兄、とんだ歪んだ性癖の持ち主だけどまぁそもそも賊だしね!!そんなに都合良く改心して仲良し家族やってる奴らばかりではないというのが良い(集団生活の中ではちゃんとその欲を隠そうとする社会性もあるし)

中盤の色々を経ても角兄が最後に自分の得物を託すのが飛なの、なんだかんだでやっぱ愛してたし、信頼していたんだなって……飛ちゃんにとっては実妹を屠ったかもしれない角兄の得物。戦況は悪く、その片方がなければ残された角兄がどうなるかも分からない。それでも御姫と得物を託されて、彼女は逃げる。

飛ちゃんは最後に御姫を見送る時の笑顔で踊ってる姿が印象的。最後まで、御姫には笑顔を見せていた。敵の手がそこまで迫っているのに、無防備に……嫌な未来しか見えない。

それでも願わずにはいられない。生きてほしい。それは七賊たちが御姫に対して願ったのと同じこと。

 


百式変容の伊武(御歌頭)

いくつもの顔に、姿に、自在に変容する伊武。どの姿もキャラが濃くて楽しい。仮面を被れば本来の姿から離れたキャラにもなれるのはいつの時代も誰にでも有り得ることだろう。最近はほら……バ美肉とか?

けれど最後の最後に、もう誰にも変容できずに本来の姿で、ただただ御姫を逃がすために縋り付くように戦って。シャイな彼が心の底から叫んだ一言の重み。御姫の助けになることを願って使った筆。あぁなんとも健気すぎる……。゚(゚´ω`゚)゚。

私は私の筆で、続編があったら……などと願望を恥ずかしげもなく書く。物語はね、口にした瞬間から生まれるのよ(ろくろ)

 


・紙遣いの紙研(立花明依)

紙研さん……夢女大量製造機じゃん…………この美しさ、格好良さ、凛々しさ、そして儚さの前に屈服しない者など存在するだろうか。いやない(反語)

番傘の紙の有無の表現が視覚的にわかりやすくて実にバトル漫画っぽい。御姫の髪を梳きながら語るシーンとかもう絶対フラグじゃん……!(先の展開を予想して震える)なんだけど、最後に自分のことなんて顧みずに御姫に翼を与えて彼女を見上げる姿がさぁ〜〜〜〜〜ほんとうに最高じゃないですか〜〜〜〜〜……

他の賊は地に足着いた戦闘スタイルだけど、伊武と紙研だけはちょっと特別な能力ですよね。

番傘の紙が尽きたら手駒がなくなってしまうの、その紙は自分のMP?の具現化なのかなぁ。MP回復したら自然と番傘の紙も元通りになるのだろうか(さすがにいつ戦うかわからないのに呑気に一枚一枚自分で貼ったりはしないだろうとは思うのだが)

たちねぇさん、観劇日がちょうどお誕生日だったとのこと。おめでとうございました!!

 


・不動の男虎(竹村晋太郎)

虎ちゃん……!!!!!!!!

ほんともーーーーー佐久間様が非道なことするからーーーー!!!!本来の虎ちゃんは優しくて、きっともっとあの大きな身体でのんびりした口調で、ほわほわ笑顔を見せてくれるはずだったんだよぉ〜〜〜〜〜七賊の中の愛されゆるキャラじゃん……虎ちゃんにも御姫にもみんなにも辛い出来事だった……

それでもきちんと目と耳を解放して、自分の目と耳で真実を受け止めた虎ちゃん。御姫を守るために刀を抜いて戦って、ついには佐久間様を自害にまで追い込んだ。やっぱり強い。

御姫と再会して、七賊が揃って、今度こそ楽しい毎日を過ごしてほしい。そう願わずにはいられない。

虎ちゃんは戦闘モードに入るとがらっと目つきが変わって、その切り替えがすごかった。普段が不動だからこそのギャップ。好きだなぁ。

余談ですが竹村さんを初めて拝見したのは2017年の『安楽椅子探偵 ON STAGE』で(元々シリーズ好き、原作者のファン)、ようやくホームで、バリバリに殺陣をこなす姿を、丁寧に紡ぎ上げられた物語をこの身で体験することができて良かったです。

 


・佐久間(岡村圭輔)

非道だけどクレバーで、清々しいまでのザ・悪役!いや〜〜〜〜〜本当に素敵でした佐久間様!!憎めない軽妙な語り口、小ざっぱりした性格。めちゃくちゃいいキャラだと思います。

私は勝又くんめっちゃ好きですけど、その有能な勝又くんをなんの躊躇いもなく殺す選択をするところが良いですね。好きですよ。でも「腹心の部下」って『どんなことでも打ち明けて相談できること。また、その人』(デジタル大辞泉より)だぞ???(キャラ紹介ツイを振り返りながら)

あとその選択をする佐久間様は好きだけど、生かしておいた方が戦力的な意味でも大きかったと思うんだよな。自分で殺しておいて後でうっかり「ねぇ勝又くん」って声かけちゃうのとか。それだけ片腕として重宝していたんだとわかる。佐久間様は実に合理的だけど、時には判断を誤ることもあるという、人間らしさものぞかせたシーンだったな。

それと実体なき天子様を作り上げてまで民衆を統治し『国』を治めようという意思があるところ、好きです。貨幣の流通を制御して官は潤い民は貧しくなってるけど、佐久間様、自分がただ贅沢したいからそうしてるわけではなさそうじゃないですか。彼もまたシステムの一部みたいな。多分そんなに興味はないし固執してないんだと思うんですよね、有能だからやるけど。

国の創成時からの秘密、非実在天子様。よほど争乱の世でこの国の歴史が浅い=非実在天子様一代目なのか、はたまたこの秘密が何世代にもわたり受け継がれているのか……個人的にはシステムの一部と考えるなら後者だとワクワクするんだけど、歴代執政官のみ知る秘密だと引き継ぎは難しいだろうか。突然の暗殺とかありそうだし。自分の器を見極めて自ら天子の座に就くのではなく、非実在天子様を置いた上で執政官に徹することを決めた佐久間様エピがあったらそれはそれでたまらないんだなぁ。

由良の自爆攻撃から生還するしぶとさ。かと思えば男虎との戦いで自身との差を感じ取って潔く自害するところ。……好きしかないな?

続編があるならばそんな潔く自害したはずの佐久間様が半分機械状態で無理やり生かされて、新しい悪役の傀儡となって(かつての自身の所業の因果応報)その潔かった姿を踏みにじられる様が見たい……

 


・勝又(藤島 望)

とっても鼻が効く(物理)有能な部下!その嗅覚を活かした諜報活動、単身で敵陣に乗り込む勇ましさ。得物かっこいい〜〜〜〜〜!!!銃剣とかテンション上がるじゃん!!!!!

聡明でいて、上司に似て?ちょっとお茶目にずけずけ物言いする強気な部分があるかと思えば「天子様は存在するんですよね……?」って縋るように表情を歪ませていたのが印象に残っていて。彼女もまたその存在を拠り所として生きていたのかな。

ずっとお仕えします、と告げた佐久間様に呆気なく殺されてしまったの惜しいけど、佐久間様の所業を知って尚そう言えるほどの信念を持っていたわけで。嗅覚が人並外れて鋭いという特性に目をつけた佐久間様が、なんか有能な子供がいるじゃ〜んってほんのちょっと目をかけてあげたら勝手にすくすく育って恩を感じてるとか、そういう過去エピとかありますかね。ください。

お茶目だけどクレバーな上司+ずけずけ物言うけど聡明で従順な部下の組み合わせ、好きしかない……

伊武さんが死んだ勝又の姿借りて戦うのほんと趣味悪くて最高だったな〜〜〜〜〜!死して尚ああいう形で出番があるのいいな。


国家権力チームのお衣装がなかなかにワイルド(毛皮とか)なの、野蛮!!!て感じで好き。植田さんのお衣装、各キャラに合ってて、舞台映えもして、本当に素敵でした!


役者と物語と衣装と音楽と照明と制作と……各セクションがプロのお仕事をしてくれて、『ピカルーン!』は本当に素敵な作品でした。改めて皆さんお疲れ様でした!

また壱劇屋さん観に行きます!!

 

 

初心に返る『TRUMP』 #hxlTRUMP 女性版

(劇)ハンマーヘッドシャーク × LUCK UP『TRUMP』
6/13(木) 19時公演 女性版を観劇。
久し振りのシアターKASSAI。

 

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(劇)ハンマーヘッドシャーク × LUCKUP 『TRUMP』 - luckup ページ!


STORY

吸血種と人間の二つの種族が不可侵条約によって共存する世界。 
不死を失った吸血種は、人間とほとんど変わらない生活を送る。 
吸血種には人間でいう思春期を更に深刻化させた、繭期という成長過程が存在する。 
主人公ソフィ=アンダーソンは、吸血種と人間の混血「ダンピール」である。
繭期の吸血種を教育する施設「クラン」に入ったソフィは、そこでウル=デリコという吸血種と出会う。 
短命の運命を背負うダンピールであるソフィと接するうちに、ウルは永遠の命を持つという真なる吸血種、「TRUMP」の秘密を追い求めるようになる。 

そんな中、彼らはやがて 100年前の遺恨に囚われてゆく……

 

CAST

布施勇弥(♠,Q)       七海とろろ(♡,K)
新井裕士(♠,K)     小澤瑞季(♡,Q)
斎藤貴裕(♠,K)     滑川恭子(♡,Q)
織田俊輝(♠,Q)     柴田茉莉(♡,K)
岡部直弥(♠,K)     井上麗夢(♡,Q)
ZiZi(♠,Q)        荒木凪瑳(♡,K)
清野賢(♠,K)      橋本真衣乃(♡,Q)
港谷順(♠,Q)      安澄かえで(♡,K)
北原学(♠,K)         いわもとりな(♡,Q)
大石祥生(♠,Q)     結城亜実(♡,K)
上地慶(♠,K)         本倉さつき(♡,Q)
鎌田秀勝(♠,Q)     新田えみ(♡,K)
塚本拓弥(♠,K)        福田らん。(♡,Q)

ーアンサンブルー
境秀人(♠,K)       福嶋愛美(♡,K)
西垣和哉(♠,Q)      堀江茜音(♡,Q)


TRUMPシリーズ10周年記念企画のひとつ、上演権の解放で、この『TRUMP』という作品は2019年12月31日までに各地で上演が予定されている。
DVDに残らない小劇場公演だからこそ、こんな企画があってこう演じていた人たちがいたのだという記録を残しておきたいなと思ったので、ふせったーやプライベッターではなく久し振りに観劇ブログを更新した(まだ書けてないCOCOON総括感想のためのリハビリ的な面もある)

UST配信の再演Tが生みの親TRUMP。
山浦クラウスの狂気で沼に足を踏み入れたのにNU版で拗らせて、いつの間にかアンジェリコ様のオタクをしている人の感想です。
なんか長くなってしまったので、キャラ評だけ読みたい人は中盤すっ飛ばしてほしい。

(素人があれこれ書くことではないと重々承知の上で、個人的な記録として、気になった点についても色々書いています。ご了承下さい)

 


このhxlTRUMPの特筆すべき点は、男性ver.と女性ver.そして2種の男女シャッフルver.で上演されるところだ。T/Rでリバースするわけでないのに人数が単純に倍!
特に女性版……あれ、どう見てもクランの制服これスカートだぞ???と公演が始まるまでは混乱していた。再演でFemale版はあったけれど(参考: TRINITY THE TRUMP -Female- イメージダイジェスト - YouTube)あれは設定からして特殊な立ち位置の作品である。
今後も女性団体での上演が2件予定されてるので、その比較という意味でも見ておかねばと思って女性版のチケットを取った。

結論から言えば、なんのことはない。
スカート、絶対領域、ドレス……完全に女性のビジュアルでありながら、演じるのは原作に忠実な繭期の『少年』そして『男性』だった。
このアンバランスな感じが実に不思議で面白かった。演者は女性だけど、作中の関係性はやっぱり女性の距離感ではない。それでもなんだろう……見慣れたTRUMPとはちょっと見え方が違う。
決して広いとはいえない舞台には必要最小限のセット。演者の演技と、観客の想像力に委ねられる小劇場演劇。けれど演者が「少年たち」と言えば、あるいは「僕」「息子」と口にすれば、彼女たちは確かに「彼ら」になった。

西田シャトナー作品とかでよく感じるのだが、こういう、演者が「ここは宇宙だ」といえば舞台の上は宇宙になるような、お芝居の基本的なお約束が演劇の自由でいいところだなと思っているので、それを改めて感じた。
すでにTRUMPを履修している私には馴染みのクランのセットが見えたし、地下書庫には本が溢れていた。二階から、何も言わずに息子を見下ろすダリちゃんもいた。シリーズ初見の方がどこまで背景を幻視できたか定かではないが、それでも物語に引き込まれていた様子を見て、この『TRUMP』という作品は大阪の小劇場で上演された初演から確かに支持を得ていたのだなと実感する。

TRUMPシリーズのここ最近の新作、行間を埋めるどころかとんでもない量の情報でぶん殴ってくる。解釈違い絶対殺すマンかって思ったのはまた別の(繭星)話。このシリーズが広大である証左でもあり、素直に喜ばしいことなのだが……個人的には『TRUMP』の、まだ余白が色々あって、あれはどうなんだろう……と想像の旅に出られたところが好きだったので。
そういう意味で、初心に返れた気がした。
今このタイミングで小劇場のTRUMPを観られてよかったと思う。

戯曲は販売もされているソフィ・トリロジー収録のTRUMPが基本になっている。つまりは大体NU版。休憩なし2時間10分に収めるためにちょこちょこ摘んでるけど、NU版を育ての親TRUMPとする私は見覚えのあるシーンや台詞に始終ニコニコした。
教養室の日替わり懐かしい……当てられた1回目の生徒のラファエロモブは1と10しか数えられない子かもしれない……と思うくらい本編中とは印象が違って可愛かった。2回目のウルモブ、大変元気で思い切りがよくてよろしい。教養室でイキイキするミケちゃんが楽しそうで何より。

ところでフライヤー見ても「脚本:末満健一」の文字はないのだけど、そういうもんなのかな……?


演出で気になったのは、地下書庫で倒れたウルにラファエロが駆け寄るところ。あそこだけ異様に唐突だった。セコムお兄ちゃん……
あとジョルモロのギャグシーンが基本的にカットされてるので、ちょっと彼らがモブっぽくなっていたのが残念ではある。でもアンジェリコ様に抱きしめられてたのが羨ましいので帳消しだな!(夢ドブネズミ並感)
男性版にはギャグ100連発があると聞いて、観られないのが片手落ちで悔しい。

後ろに張られた幕を使うことによって懲罰房に空いた穴の表現や、灰になって消える際の退場ルートになるの、効果的で良かった!


殺陣。もう少し止めるところは止めるなどのメリハリがあると緊張感のある殺陣に見えたのでは。流れてだらっと見えてしまう部分があったので。


衣装。かなり二次元寄りの制服だなと思った。個人的にはもう少しスカートが長い方が好き。アイドルとして見るなら短いのもファンサのひとつなのだろうけど、同性としてはなんか……心配になるので。絶対領域とか倒れ込んだ時に露わになる太ももとか、物語への没入を妨げる気がする。
でもタイツの色がダンピールのソフィとウルだけ白だったり(ソフィは白黒衣装がわかりやすい)、人間である萬里が黒タイツだったり、そういう衣装の区別すき。


選曲がこうくるか!の連続なのは楽しかった。最近の末満さんはいかにもJ-pop的なのは使わないので(初演はそれこそVAMPSとか使ってたそうだが)
キャスパレがミディアムバラードな日本語曲、新鮮。転調でロックになるの良かった。
エターナルダンスが!エターナルダンスじゃなくて!すごい、青春だ……!?
剣術大会でのソフィ対ラファエロのシーンと、アンジェリコがウルを刺すシーンでバッハの「無伴奏ソナタ」が流れるの、本家のライネス代わりという訳じゃないが罪のイメージで良かった(舞台『無伴奏ソナタ』以降、個人的になんとなーく罪のイメージがついていたので)

アレクラのシーンで「ザナルカンドにて」が流れるのは反則では???

『最後かもしれないだろ。
 だから全部話しておきたいんだ──』

確かにそういうシーンだな!?(納得)

 


・ソフィ(七海とろろ)
凛とした少年。芯の強さを感じる。
冒頭とラスト、その長い長い生に飽いた様子が表情や空気から感じられてよかった。

最後のクラウスに咬まれたシーン、たまたま倒れ込んだ位置なのか演出なのか一公演しか見てないので判然としないが、少し呆気なくて恐怖感・嫌悪感といったジタバタした感じがないのと、本家と違って舞台に対して前後で(ソフィが客席に背を向けて)芝居するから「僕に何をしたんだ!」感があまり伝わらなかったのが少し残念。

カテコでぴょこぴょこしながらウルと仲良くはけるのがとっても可愛かった〜〜〜〜〜くそ〜〜〜ただ二人が仲良くあれる世界線よ来い〜〜〜〜〜!!!!


・ウル(小澤瑞季
青髪ウル!名門デリコの息子なのに青髪!さてはダリちゃん甘やかしたな……?というのはさておき、天真爛漫でぴょこぴょこ元気なウル。ソフィにとってウルはキラキラ輝いてた思い出だから彼は特別に鮮やかなのかな、と思った。

デリコ家秘伝の技の日替わり、A。「デリコ、デリコ、ウル・デリコ〜♪(山本リンダ狙いうち)」からのニワトリものまね。お疲れ様……!


「準決勝の君の相手はアンジェリコだ」のところだったかな?ソフィとウルがただ向かい合うんじゃなくて、立ち位置がずれてる(そのまま歩き出してもぶつからない)のが、2人の心のズレが可視化されていて良かった。

 

・クラウス(滑川恭子
TLの前評判通り、とってもクラウスだった。
まじで一切「ソフィ」には興味がないティーチャークラウス。「アレンの血」だけが大事だし興味があるし手に入れたいってのがひしひし伝わってきた。
ウルを撫でてから言い放つ「あなたの血はいい匂いがしないんだ」とか、ひゃ〜〜〜〜〜!ですよ!!!
滑川クラウスは狂気というのはまた違うのかな……アレンという星に渇望してしまった、ひとりぼっちの吸血種。


・アレン(柴田茉莉)
最初に出てきた時、ブラウスの第一ボタンは止めてないしリボンも緩めてるしで(この子、ルルミナといちゃいちゃしてきたのか……!)なんて考えてしまった。別にその時だけ特別ではなくいつもそんな様子だったので、自分なりのおしゃれなんだろう。ギャルか。中身は天真爛漫で、クラウスもこれは憧れちゃうだろ〜〜〜〜ってめちゃくちゃ納得した。


このアレンとクラウスに客席を納得させる力があったのは大きい。アレンとソフィの違いが本当に明確だったので、クラウスの求めたものも明確化されてより恐ろしさを感じることができた。

 

ラファエロ(井上麗夢)
クールな、けれど弟思いのお兄様。繭月履修後の繭期にはいろいろ刺さるものがある。ソフィが憧れるだけある、という感じ。
ソフィに「下等なダンピールめ」て言った後にそっとウルに視線を送る罪悪感の塊。父の期待に応えねばならない、応えたいプレッシャー。
硬い表情ばかりの中で教養室モブは癒し。


・アンジェリコ(荒木凪瑳)
COCOONで集大成を見てしまったアンジェリコ・フラ。だからこそ、このタイミングで他の役者がどう演じるのかに興味があった。

いっそ振り切れたぶりっ子というべきか、語尾に全部ハートつけてるのかみたいな。純血倶楽部に対してもめっちゃ撫で回すし可愛がってて、アイドルみたいな強気お嬢様!その可愛い可愛い猫撫で声と、ドスの効いた「ラ″フ″ァ″エ″ロ″ォ″……!」の差がすごい。

「皆よ!カワイイ笑顔!投げキッス!今日来てくれたお友だちへのファンサービスだ!」
さ、最高では……????
下賤の者にも優しいアンジェリコ様、しかし胸中に渦巻く特大の感情はただ一人だけに向けられているというのがひしひし伝わって良い。

剣術大会で勝ち上がる「勝者ラファエロ・デリコ!」のとこ、さすが僕のラファエロって感じで(あるいはこれから起こることを楽しみにしていて)ラファエロを見てふふんと笑うアンジェリコ様ちょうかわいい。

愛が強い、愛に溢れたアンジェリコ様だった。だからこそ憎悪に転じた際に振り切れてしまうんだろうな、というのがわかる。

後半のアンジェリコ様は泣き喚くし頭を床に叩きつけるし、さすが履修してらっしゃるだけあってCOCOONを摂取した後の繭期にめちゃくちゃ効く。泣き虫アンジェリコがいた……。゚(゚´ω`゚)゚。


カテコで二人視線を交わすの好き。
本当に想いがすれ違うラファジェリコ。この二人で繭月だったらどうなんだろう……なんて思わず考えた。

 

・臥萬里(橋本真衣乃)
めちゃくちゃ再演SPECTERの下川ノームの流れを汲んでません……?て思ったんだけど、よく考えたらここ稽古中の怪我によるキャス変があったんだった。えっ、橋本さん元はジョルジュだったの???それはそれで観たかったけど、萬里が大変しっくりきたので良い配役だった。登場時「ちっちゃい」て言われる。可愛い。24歳でサバ読んでクランに来てるのに違和感がない。


・ピエトロ(安澄かえで)
い、いい子〜〜〜〜〜アレンに振り回される苦労人。「なんだってよりにもよってクラウスなんかに知らせたんだ」の時の、外したイヤーマフをぎゅっと握りしめるところ良かった。あと安澄さんとても声の通りが良いのでそれだけで評価上がってしまう。


・ジョルジュ(いわもとりな)/モロー(結城亜実)
身長も同じくらい、ニコイチでアンジェリコ様に付き従うジョルモロ、かつてのベビメタのゆいもあか?した。可愛い。前述の通りちょっとモブ感があるのが残念だが、アンジェリコ様から非常に愛されてる純血倶楽部羨ましい。


ティーチャーグスタフ(本倉さつき)/ティーチャーミケランジェロ(新田えみ)
グスミケ仲がよろしい〜〜〜〜〜!
ミケちゃん美魔女!!!美魔女がおる!!!!
フラメンコ習っておられるのか、仕草がいちいちセクシーで大仰で楽しいミケちゃん。
尻に敷かれるグスタフ。いい。


・ダリ(福田らん。)
登場時のダリちゃんコールは残念ながら削られてしまったが(時間的な問題はあるしね)デリコ家秘伝の技シーン、本家並みに自由で楽しそうでいらっしゃったダリ卿。
ら、ラファエロを無視した……
お、おま〜〜〜〜〜!(繭星履修者の叫び)

 

 ・ ・ ・ ・ ・

 

ここからはシリーズ履修者としての宣伝。

もしも今回このhxl版で『TRUMP』という作品そのものに惹かれた方がいるならば、是非ともシリーズを追っていただきたい。

そもそもTRUMPシリーズとは……は公式を参照。

cocoon.westage.jp


・『TRUMP』2009年、2012年、2013年、2015年
hxl版の下敷きとなっているのは2015年のNU版hxlアンジェリコ様の違い、女性版はT、男性版はR参考?)(聞きかじりからのイメージ)

『TRUMP』DVD〜TRUTHバージョン〜 - NAPPOS SHOP

『TRUMP』DVD〜REVERSEバージョン〜 - NAPPOS SHOP


・『LILIUM─少女純潔歌劇─』2014年
TRUMPのあとに是非とも見てほしい少女たちの物語。リアル繭期ともいえる年齢のアイドルが演じた、シリーズ屈指の名作。


・『SPECTER』2015年、2019年
TRUMPにも出てきた萬里が出てくるよ!(萬里のとこで名前をだした下川ノームは2019年版です)


・『グランギニョル』2017年
SPECTERの裏で起こるデリコ家の事件。若き日のダリ卿、そしてアンジェリコ様のお父上も出てくる。


・『マリーゴールド』2018年
LILIUMにも出てきた少女と関係する、母と子の話。
ソフィ、ウルも登場する。


・『COCOON 月の翳り星ひとつ』2019年
11月に円盤が出ます。ラファエロとアンジェリコの友情と決裂を描いた「月の翳り」、TRUMPのウルの視点で描かれた「星ひとつ」、シリーズ10周年のひとつの区切りの作品。

 

ここまで読んでくれてありがとう。
よい繭期を。(CVソフィ・アンダーソン)

 

 

『無伴奏ソナタ』を観てくれ

※これは感想ではなく、布教用記事です。


こんにちは、『無伴奏ソナタ』強火担です。
フォロワーの皆様方におかれましてはここ数日、特にTLをお騒がせしております。
でも初演の時も再演の時もそうだったのでどうか諦めてほしい。
これは短期決戦なんだ。
できれば劇場に足を運んでもらって、この感情を共有したい。その思いで今、こうしてつらつらと文字を書き連ねているのです。
(本当は初日を観てすぐに書き上げたかった……!しかしまだ滑り込める人がいるのではという一縷の望みをかけて、東京千秋楽を明日に控えこの記事を書いています)


どの演劇も劇場で観るのが一番だと思う。
それはもう、どの作品にもいえること。
当然、日程とか懐事情とか色々あるのは承知の上で、それでもなお、この作品には劇場で観る醍醐味があると声を大にして言いたい。舞台と客席の境が曖昧になるあの体験は、劇場でしか味わえないんだ!!!



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http://www.caramelbox.com/stage/mubansou-sonata-2018/www.caramelbox.com

 

あらすじ

すべての人間の職業が、幼児期のテストで決定される時代。 クリスチャン・ハロルドセンは生後6ヶ月のテストでリズムと音感に優れた才能を示し、2歳のテストで音楽の神童と認定された。
そして、両親と別れて、森の中の一軒家に移り住む。そこで自分の音楽を作り、演奏すること。それが彼に与えられた仕事だった。彼は「メイカー」となったのだ、メイカーは既成の音楽を聞くことも、他人と接することも、禁じられていた。
ところが、彼が30歳になったある日、見知らぬ男が森の中から現れた。男はクリスチャンにレコーダーを差し出して、言った。 「これを聴いてくれ。バッハの音楽だ……」

 
 

無伴奏ソナタ』は、以下の人にオススメです。

・音楽、小説や漫画、映像etc.なにかしらの創作活動をしている
・これがなくては生きていけない、というものを持っている
・「天才の苦悩」「創作者の業」のワードにピンときた
ディストピアSFが好き
・人の幸せ、愚かさやエゴについて考えたい
・最近泣いてないから泣きたい
・暇だからなんかオススメの舞台が観たい


気になった方はすぐにチケットを取ってください。当日券を買いに行ってください。
キャラメルボックスの当日券は先着順です。
劇団主催公演では早く着いた人には椅子も用意されてるので座って待てるという親切仕様。とりあえず行けばきっとなんとかしてくれます。

まずは劇場へGO!



【東京公演】★
5/16(水)〜5/20(日) ※千秋楽は13:00
池袋・サンシャイン劇場

【栃木公演】
5/22(火) 18:30 栃木県総合文化センター

【愛知公演】
5/24(木), 25(金) 19:00
東海市芸術劇場

【松本公演】★
6/2(土) 14:00 まつもと市民芸術館

【大阪公演】★
6/23(土) 13:00 / 18:00, 24(日) 13:00
サンケイホールブリーゼ

★…劇団主催公演
24歳以下および60歳以上の方4,000円の割引チケット、各会場の初日の半券を持って翌日以降の当日券を購入すると半額になる初日特典、当日まで余った席を半額で購入できるハーフプライスチケット(東京、大阪のみ)etc.が利用できます。詳しくは公式サイトをご覧ください。

半額でなら観てみたい、明日の東京千秋楽に当日券チャレンジするよ!という人は私の初日半券お譲りできますのでお気軽にお声かけください。愛知・大阪で使いたいよっていう遠方にお住まいの方の場合はすぐ送るからDMしてくれ!
※5/20追記:当日券チャレンジしてくれたフォロワーさんにお譲りしたので現在募集はしていません。



↓初演の映像を使用したダイジェストムービー。ネタバレしてますが「全く知らないものに金は払えん!」って人は見てみてね。※消えてしまったので差し替えました
youtu.be




(以下、時間があればどうぞ)
 


2012年に初演。私は初めてのグローブ座だった。シンプルな五線譜で囲われただけの舞台美術を見て、どんな物語が待っているのだろうとワクワクした。だばだば泣いた。
2014年に異例の早さで再演。Twitterで怒涛のダイマをしたら9人ものフォロワーさんが劇場へ足を運んで観てくれた。
そして2018年。こんなに早く再々演が拝めるとは正直思わなかった。

毎年2作は必ず新作を用意するキャラメルボックスの再演スピードは、本来そんなに早くはない。7,8〜10年ぶりなんてザラだ。
だというのに『無伴奏ソナタ』はたった6年の間に3度の上演。いかにこの作品が支持されており、上演を熱望されているかが分かるだろう。
(なお今回の上演は長野県の高校の学校行事として観劇したいという打診からツアー実現の運びとなったようで、長野の高校生がめちゃくちゃ羨ましい)


キャラメルボックスの基本は王道のザ・ハッピーエンド。
老若男女問わず基本的に笑って泣けてスピーディな展開で、さわやかな涙を流してデトックスして明日への希望を持って颯爽と劇場を後にすることができる劇団だと思っている。
こういう劇団だ、といえるのは強みだと思う。正のエネルギーを補充したいと思った時に選択できる劇団だ。

まぁそんなわかりやすくキラキラ眩しいハッピーエンドばかりの作風が苦手という人も一定数いるのは知っているのだけれど、今作はそんな方にもオススメできると思う。
逆にいうと、いつものあのキャラメルボックスを期待してしまうとキラキラ眩しい正のエネルギーは得られないかもしれない。
それでもこの作品は「生」のエネルギーには溢れている。


この作品は原作モノである。
『エンダーのゲーム』などで知られる作家、オースン・スコット・カードの同名短編集の表題作である。

原作モノを手掛ける成井豊はな、強いんだぞ……
文庫にして30ページ程度の短編を、よくもまぁ上手いこと膨らませて2時間の芝居に仕立て上げたなぁとその手腕に感心する。


あと音楽がいい。
キャラメルボックスの劇中使用曲のおかげで知ることができた曲・ハマったバンドなどはいくつもある。ZABADAKもamazarashiもそうだ。
今回だと再教育センターのシーンでかかる作編曲家・未知瑠さんの『盗人-The Thief-』がたまらない。なんとこの曲含む1st Albumがつべに公式で上がっているから是非聴いていってくれ。2nd Albumもいいぞ。
youtu.be



この作品には沢山の歌が出てくる。
それでもやっぱり、シュガーの歌を聴くとたまらなく切なくなる。
初演も再演もそして今回も、劇場からの帰り道、自然と口ずさんでいた。観たらきっとあなたもそうだと思う。
どうかクリスチャンの作ったこの曲を、歌い継ぐ1人になってほしい。