眠る回遊魚

溢れるパッションを記録する場所

霧の中のお伽話── #HORIZON_TRUMP

演劇ユニットHORIZON 第13回公演『TRUMP』
清水文化会館マリナート小ホール
10/20(土)13:00 千秋楽を観劇

 

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TRUMP | 演劇ユニットHORIZON

 


STORY

舞台は、繭期(人間でいうところの思春期)を迎えた若き吸血種「ヴァンプ」たちを教育(矯正)するために設けられたギムナジウム(クラン)。 人間とヴァンプの混血(ダンピール)であるソフィは優秀だが、「汚らわしき者」として周囲から嫌悪されていた。完全階級社会であるヴァンプ界にあって指折りの名家の生まれであるウルは、忌むべき存在であるソフィになぜか心惹かれていく。 そんな中、ウルはかつてのヴァンプが持っていた「不死の力」について研究を続けるうち、永遠に生き続けているとされる原初の吸血種「トランプ」の存在を知り、永遠の命を渇望するようになる。 不死を失った吸血種の少年たちが、「生」を渇望し、永遠の命を持つトランプの不死伝説に翻弄されていく、儚くも美しいヴァンパイア・エンターテインメント。
※公式サイトより引用

 

CAST

ソフィ・アンダーソン:芝原 鴇
ウル・デリコ:星 万莉子
ティーチャークラウス:草野冴月
アレン・ストラウフ:河村夏葵
ラファエロ・デリコ:結城
アンジェリコ・フラ:市川 春
臥萬里:鴻野悠空
ピエトロ・ロンド:髙橋秋帆
ジョルジュ・ハモンズ:外山永梨
モロー・ガーランド:鈴木姫乃
ティーチャーグスタフ:天野 仁
ティーチャーミケランジェロ:蔭山ひさ枝(劇団渡辺)
ダリ・デリコ:光山 香
アンサンブル レオナルド:大場麗央奈
アンサンブル ジャン:安田佳音
アンサンブル ノア:菊森さくや

 

 

TRUMPシリーズ10周年記念企画のひとつ、上演権の解放で、この『TRUMP』という作品は2019年12月31日までに各地で上演が予定されている。
DVDには残らない公演だからこそ、こんな企画があってこんな風に演じていた人たちがいたのだということを、このインターネットの広大な海の片隅に記しておきたいと思ってこれを書いている。

ちなみに5月に他団体が上演したTRUMPの感想はこちら

hal-8.hateblo.jp


 

UST配信された再演Tが生みの親TRUMP(繭期には親TRUMPの概念があります)(やっぱり最初に観たもののインパクトは強い)
山浦クラウスの狂気怪演の衝撃で沼に足を踏み入れたのに2015年のNU版(=育ての親TRUMP)でラファエロとアンジェリコ様を拗らせて、いつの間にやらアンジェリコ様のオタクをしている繭期の感想です。

Twitterで垂れ流した呻き声はここに。多少内容が被っている点はご容赦を。

HORIZON_TRUMP感想 - min.t (ミント)


TRUMP以外の重大なバレはないので今回初めてこのシリーズに触れた人も安心してお読みいただけます。HORIZONさんのファンの方も!是非!レッツ繭期!!(記事の最後にシリーズ宣伝あります)

 

 

あっという間に千秋楽から一週間が経過してしまった。静岡のクラン。東京でも大阪でもない地で、地元の人に愛されてる劇団が上演するTRUMP。女流の、社会人劇団。専業役者ではないから、皆それぞれに普通に仕事をしながら半年も前から少しずつ稽古が始まって。ゆっくりと、じっくりと、丁寧に積み上げられてきた。

演出およびクラウス役の草野さんは重度の繭期とのことで!キャスティングはそもそも現実の人間関係を反映しているし、役者にはそれぞれのキャラが知っている情報だけを与える──ウルとラファエロとアンジェリコ様はグランギニョルを見てはいけないけれど、逆にダリちゃんはグランギニョル必修、などの視聴制限がかけられている。その上、役者それぞれに演出から秘密のオーダーが渡されている。
繭期のいち観客としてはこんな実験的な演出は面白いに決まってるし、万が一自分でTRUMPを演出をするのならきっと同じことをする。だって面白そうだから!
もちろん目の前の台本だけで自分の演技プランを組み立てることや、あるいは逆に全ての情報を取り入れた上で組み立てることも可能だろう。それでも、それぞれ演じるキャラと同じ情報しか与えられずに構築されたこのHORIZON版TRUMPは、だからこそリアルな繭期を見せてくれた。
専業役者を集めた公演ならばきっとひと月程度の稽古で済むのだろうけれど、仕事を掛け持ちしながら半年もの間、各々の繭期と向き合ってきたキャストの皆さんにとっては大変な苦労だったと思う。盛大な拍手を送りたいし、実際に客席から送ることができてよかった。

そういった面白い試みをしているぞ、という情報が劇団公式Twitterや演出の草野さんのツイートなどから読み取れたので、今年のTRUMP上演団体の中でもHORIZONさんのはとびきり楽しみだった。たぶん同じような繭期は多いと思う。
近隣の飲食店とのコラボメニューはどれも美味しそうだし、イメージアクセのピアスが片耳ずつなの……わかる(わかる)
席に着いたら、繭期の方と劇団のファンの方が楽しそうにお話をされてるのが聞こえたり。

2日間、3公演しかなかったのが本当に惜しい!
とても素敵なクランでした!

 

受付
「ようこそ、クランフェストへ!」
って言ってもらえたんですよ。チケットもぎりの時。
えっ嬉しい……ささいな一言だけど、会場入口に一歩足を踏み入れた時からそこはもう静岡のクランだった。そういう雰囲気作り、いいですよね。さながら我らは世界中から集まった名のある貴族なのだろうか(血の香水を振りかけて紛れ込んだ人間が妥当では?)

チケット販売方法はパスマーケットでの電子チケット。でもちゃんとロビーには紙チケットが用意されていて(引き換え済の印字あり)ご自由にお持ち帰りください方式。物販は小規模ながらも注文シートが用意されている。アンケや注文シート記入のための筆記具も当日パンフと一緒に渡してくれる。ロビー運営が丁寧なところって信頼できる。そう思いながら客席に向かった。

 

舞台セット
こんなに大掛かりなセットを組んでくれるんだ!というのが最初の驚きであり、そして嬉しかったポイント。あの中央に据えられた階段がまたいい仕事する!出ハケに使われる部分が額のように縁取られていて、絵画の中からあの淡い衣装の皆が出てくるのがお伽話のように感じる要因のひとつにもなっていると思う。
毎公演、舞台上に生花を活けるのがHORIZONさんの特徴とお聞きして気になっていたそれは、多肉植物や蔦や枝、ドライフラワーのようなものばかり。一見して生きているんだか、いないんだかなラインナップに、ソフィの遠い記憶の中の『懐かしき我がクラン』……滞る時の流れを感じた。

 

照明
最前に座っていたので余すところなく照明を堪能できたかと言われると難しいのだが(照明ってある程度引いたほうが綺麗に見えるよね)#HORIZON_TRUMPタグに投稿される撮影OKタイムのお写真を見るだけでもめちゃくちゃ綺麗だなぁってうっとりする。役者だけではなくて照明担当の方もちゃんとシリーズを履修して文脈を理解した上で当ててくれてるの嬉しい。デリコ家の兄弟は青春の発露もまた対照的でいいですね(頷き)
この度HORIZONさんの正式メンバーになられたそうで、おめでとうございます!

 

衣装
淡く明るい色のクランの制服。ビジュアルが解禁された時はびっくりした。とても新鮮だった。
再演はビビットな青と赤、Dステ版・NU版は濃色で、COCOONは白──本家にも変遷はあるけれど、そもそも制服の機能として、あの年頃の子供が着るには淡い色だと汚れが目立ちそうという先入観があるのかもしれない。貴族の子達はマナーがいいだろうし、クランに下男がいるなら洗濯してもらえるのかもしれないけど、あの年頃が階級・出自関係なく集められるのだからどうしたって喧嘩はあるし。COCOONはじめ最近は白で統一されてるけど、白は白で繭の中でどろどろに溶けて大人に変容する前の誰が誰だかわからなくなる感じが良いし、繭月はだからこそな仕掛けがあってしんどいのでおすすめ(しんどいけど)
でもこのクランは淡い色。彩度がある。上品で、とても優しい雰囲気。お伽話のようなクラン。だからこそ、展開する物語との温度差のギャップがまたしんどい。

物販で販売されたビジュアルブックにそれぞれのキャラの制服とか、衣装解説とか掲載されてるの、あまりにも嬉しいポイント。衣装はソフィ役の芝原さん担当だそうで。すべてを知るソフィが手がけた衣装、すごく好き。


音楽
やっぱりキャスパレに日本語歌詞曲もってくると本家とはまた違った印象を受ける。キャラの一挙手一投足を視界に捉えながらもストレートに歌詞が入ってくるから。最前、近すぎて逆に誰を観たらいいのか……(まぁ大体アンジェリコ様あたりを定点してたんだけど)(撮影OKタイムではクラウスの祈りを堪能した)
イニシアチブの水音、じわじわ侵食される感じがおぞましくて良い。一滴でも毒を垂らした水は飲めないように、使ってはならないはずのイニシアチブのタガが外れたら、もう戻れない。
公演後に使用曲プレイリスト公開してくれるのありがたいです(キャラメルで育ったので!)

 
コラボメニュー
1店舗だけじゃない、いくつもの地元飲食店とのコラボ。現在も発売中のものや、レギュラーメニューになったものまで。本家でもやってくれないこと(マリゴ展の時に少しだけあったけど)を地元を盛り上げるという形で実現してくれるの嬉しい〜〜〜〜〜!Win-Winでいいなぁと思います。ありがとうございます。

 

キャスト 

・ソフィ・アンダーソン:芝原 鴇
すごく少年!14歳の少年!敵意や悪意には強いけど好意を受けることに慣れてないから戸惑ってしまうの、も〜〜〜〜〜愛おしいね……知らなければ希望を見出さずにいられたのに。『友達』を知ってしまってから奪われる。自分を殺そうとするウルの手を引き寄せるの、あまりにも……あまりにも……ウッ
クラウスに咬まれた時のあの足をジタバタさせるとこ本家でもすごく好きなシーンなんだけど(生物の反応としてあまりに生々しくて)芝原ソフィのそれもまた良かった……

ラストシーンの、力いっぱい星に向かって手を伸ばす姿と、耳の痛くなるような静寂の中で小さく漏れ出た「……届け、届け」が目に、耳に、焼き付いている。これまで永い永い生に飽いて自身もまた得体の知れない者へと変容し、静かな怒りと決意とが込められたあのポーズのソフィを何人も見てきたが、まだひたすらに、こんなにも必死に、ぎゅっと目を瞑り懇願するように死へと手を伸ばすソフィは見たことがなかった。彼はたったの14で時を止められてしまった、永遠を彷徨わねばならなかったのだという残酷な事実を再び突き付けられた気がした。

 

・ウル・デリコ:星 万莉子
すらっと背が高くて(聞くところによると兄さんより高いとか)ソフィの顔を覗き込む時に持て余された足に萌えてた。でも胸を張れない子。その挙動には常に陰翳が張り付いている。

耳を抑えるような、頭を掻き毟るような、本家とはまた違った苦しそうな仕草が印象的だった星ウル。その理由は、演出から渡された秘密のオーダー。

グランギニョルを履修した者には納得オブ納得。故に残酷。子は親に似るじゃないけど、繭期ってすえみつおじさんに似るよね……(褒めてる)(そしてその例えは別の意味でもブーメランするのだ)
そんな状態で出来上がった星ウルは、本当に優しい子に育った。だからこそ苦しかったよなぁ。グランギニョルの実況を見届ける日が楽しみでもあり、怖くもありますが……心を強く持ってほしい。

 

ティーチャークラウス:草野冴月
物語上においても、このHORIZON版TRUMPを上演するにあたっても要の人物。現役生物教師によるTRUMP考察、大変興味深かったです。未読の方は是非。

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クラウスの淡いベージュのコートは、あのグレーを基調とした生徒の制服や黒ベースの大人組の服とも違って、生徒に混じるにも大人組に混じるのも異彩を放っているというか……文字通り彩度の話。あんなに淡くて儚くて綺麗な色味なのに、アレンの告白を聞いた後の処理落ちしたような「…………えぇ?」とか、ウルを撫でた後に「あなたの血はいい匂いがしないんです」と言い放つクラウスの底冷えの感情。この感想記事のタイトルを『霧の中のお伽話』としたけれど、その流れで例えるなら『本当は怖いお伽話』だ。

私はクラウスや、あるいは『SPECTER』の某キャラのことを小野不由美著『屍鬼』の沙子を重ねて観ているところがある。自らが望んだわけでもない運命と、超えられない壁に阻まれて竦む姿と。けれどもそれを免罪符には決してできない、その残酷な所業と。

周りが勝手に祀り上げて、勝手に信仰して、勝手に供物を捧げて、監視されて、そんなクラウスのたったひとつのワガママ。アレンと友達になりたかったはずなのに。永遠に向こう側へ行ってしまった彼のことを100年拗らせたクラウスは、手段と目的が入れ替わってしまった。
ソフィには興味のないクラウス。アレンの血に手が届いて──満足して、目的を達成してしまった現在のクラウスは、だから海の底で眠っているのだろうか。

 

・アレン・ストラウフ:河村夏葵
幼いでもなく、俺様ホストでもなく、天真爛漫というわけでもない。妖精か天使か、幻みたいなアレン。か細く、囁くような声。とても新鮮だった。河村アレンはセイレーンとかそういう類のものなのでは?少なくとも、この霧の中のクランに住まうクラウスにとっては。
このアレンは捕まえられない。永遠の憧れ。蜃気楼のような揺らぎ。そう例えてしまうのは安直だ。アレン・ストラウフは確かにあのクランで生きた少年だ。生きたから、死んだ。
回想のアレンと現在のソフィが入れ替わるシーン、セットの階段ですれ違わせるのめちゃくちゃよかった。美しい光景だった。なんで映像に残らないんだろ。

 

ラファエロ・デリコ:結城
私、結城ラファエロめちゃくちゃ好きです(告白)
NU版ほど大人びてもいないし、Dステ版やCOCOONほど等身大の子供でもない。本当にギリギリのラインにいる感じ。TRUMPと繭月を履修された結城さんのラファエロは、背負ったものの大きさと、憧れた自由と、ただ愛されたかったという苦悩で危うく揺らいでいる。「大切な友人は3年ほど前に失くしました」を公演後のツイートとはいえ、はっきりと口に出せるのは貴重なラファエロだと思った。アンジェリコ様と決裂したあの日から、一人で抱えるものが大きくて困ったろうな。

こんな騒動がなければ、もしかしたら繭期を越えられるかもしれなかった。アンジェリコ様と二人、彼らの父たちと同じように血盟議会で並び立つ日が来るかもしれなかった。クラウスといい、繭月の変態繭期オタクおじさんといい、あるいはグランギニョルといい、本当に、繭期はすべてを狂わせる……

終演後に撮影OKのキャスパレ再演を袖で待機してる時にアンジェリコ様と顔を見合わせて笑っていて、あぁこんな2人がいたかもしれないのになと切なくなった。
結城さんの祭壇に在りし日のデリコ家の肖像とアンジェリコ様とのお写真が飾ってあるのしんどみ……すき……


・アンジェリコ・フラ:市川 春
夢ドブネズミ、アンジェリコ様に光る棒を振れる日がくるとは思わなかったよ。えーんもう、めちゃくちゃ嬉しい〜〜〜〜〜!次なる夢は「嫌がらせだなんて、随分と人聞きが悪いですね」のあとの「「アンジェリコ様〜〜〜〜〜!!」」をジョルモロと一緒に高らかに叫ぶことです(真剣)

本家がアンジェリコ・フィーバーであるのに対して、こちらの登場シーンはアンジェリコ・タンゴ。使用曲はRaujika「Start」

Strat

Strat

  • Raujika
  • エレクトロニック
  • ¥150
  • provided courtesy of iTunes

music.apple.com

薔薇を客席にお飛ばしになる優雅さ。さすが名家フラ、輝きが違う()
このタンゴ、いま改めて聴いてみると春ジェリコ様にぴったりなんだなと思う。本家のゴリゴリにロックなあの苛烈さとはまた違った温度感。HORIZON版TRUMPはみな総じてそうなんだけど、優しくて、寂しい。だから春ジェリコ様の登場に使われるのはこの曲だ。あぁ、やはり登場曲とは自己紹介曲なのだな……(アイドルか?)(光る棒も振ったわけだし)

秘密のオーダーは『勉学も剣術も、誰よりも努力家。隠れたところでこっそり特訓をしている』
はい、ありがとうございます。
COCOON 月の蔭り』での好きなアンジェリコ様の台詞のひとつに「咬傷行為は血盟法で禁じられている」があるんだけど、彼本来の高潔な、立派な貴族であろうとする真面目なところが垣間見えて好きなんですよ。偉大なる父のような立派な吸血種になるために、フラ家の名を負う者として陰でたゆまぬ努力をしている。
そうして努力を重ねてきたアンジェリコ様が、世界中から名だたる貴族が来訪する──偉大なる父も来るかもしれない、これまでの日々の努力のお披露目に相応しいクランフェストに期待しないはずがない。だから「貴様らのせいでせっかくのクランフェストが台無しだ!」で激昂するアンジェリコ様がただただ哀しく、愛おしい。あれだけのことをしておきながら、彼を待ちうける罰は父からのものではない。

愛されたかった子供。振り向いてほしかった親友。あの薔薇を本当に送りたかったのは誰かな。


どこのTRUMPでもそうだけど、その座組だからこその組み合わせ……このソフィにはこのウル、このラファエロにはこのアンジェリコ様、みたいなのがあって。HORIZON版TRUMPももれなくそう。だからこそREVERSEで輪廻したらどうなってたかな、とちらと思ってもみたりする。
※本家のTRUMPにはTRUTH/REVERSEの2パターンがあり、交互に上演される。作中の「生まれ変わったら僕は君になりたいな」というセリフの通りにREVERSEでは対となる役を入れ替えて上演されるのが特徴

 

・臥萬里:鴻野悠空
・ピエトロ・ロンド:髙橋秋帆
鴻野萬里がさ〜〜〜〜〜もうめちゃくちゃ優しい。ソフィを見つめる表情がほんともう◯◯のそれ。「ソフィ・アンダーソンか……」の声音といい、表情といい、あとやっぱ医務室からソフィを連れ出した後にめっちゃ怖い表情でダリちゃんを殴りに戻ってくるところまでワンセットで最高(オタク特有の早口)(ろくろ)

ピエトロの最期のシーン、本家よりも長くドラマが展開していて。なかなかピエトロに焦点当てた本家の裏話は多くないけど、人間で、ヴァンパイアハンターな彼にもいろんな事情があったんだよなぁって観てた。髙橋さんは公演後にいろいろなピエトロ裏話をしてくれて、ピエトロ・ロンドというキャラがより広がった気がする。


・ジョルジュ・ハモンズ:外山永梨
・モロー・ガーランド:鈴木姫乃、髙橋秋帆
HORIZON純血倶楽部がマッドバーニッシュなの大勝利です!!!COCOONで繭期キマってる時にプロメア見たもんだからリオくんはアンジェリコ様だしマドバは純血倶楽部だ〜〜〜〜〜してしまったので(このテンションで感想文まで書いた)

長い時間をかけて準備してきてあとは本番を迎えるばかり、というタイミングでモロー役の鈴木姫乃さんが交通事故で入院。ピエトロと兼役で髙橋秋帆さんが代役。モローだったら役柄的に本を持っても大丈夫なキャラだからとカンペを作ってもらっても「台本は見ない!」と当日の朝5時までセリフ入れをしたそうで。
千秋楽の一言挨拶でそんな事情も伺って、そりゃあいつ何時なにがあるかわからないのが人生だけど、よりにもよってこのタイミングだなんて残酷すぎる……鈴木姫乃さんの早期回復を心からお祈り申し上げます。

髙橋モロー、急な代役で本当に大変だったと思うけれども、観ている最中は事情を忘れて物語に没頭できたし、ちゃんと鈴木モローもいました。ジョルモロは確かにジョルモロでした。アンジェリコ様に寄り添ってくれてありがとう。彼らと共に光る棒を振れたことが嬉しい。

 

ティーチャーグスタフ:天野 仁
ティーチャーミケランジェロ:蔭山ひさ枝(劇団渡辺)
客席を彷徨いアレンを探すクラウスを舞台上に引っ張り上げてあげるグスタフ優しい。やっぱりこのクランは総じて優しい。見えないティーセットを掴まされたミケちゃん……「今度は何を掴まされたんだ!?」ってグスタフに心配されるあたり、常習なのかもしれない。大丈夫だろうか。いやしかし、公演後に「ミケランジェロはクラウスだけでなくグスタフも監視していた」という裏話が聞けたので、これすらも演技なのかもしれない。柔と硬、バランスの良いティーチャーコンビだった。

 

・ダリ・デリコ:光山 香
やっぱ\ダーリちゃーーーん!/できるのは楽しい……デリコ家秘伝の技の伝授、ラファエロにまで無茶振りをしていたけれど「大切な友人に使うのだぞ」どの口が言うのか〜〜〜〜〜って掴みかかりたくなる。だがギニョルを履修した繭期は黙るしかないのだ……(繭星でまた少し怒りが復活する)

デリコ家はお辞儀の仕方が同じなの、ニコニコしてしまった。お父様に憧れてるんだよねぇ。


・アンサンブル
 レオナルド:大場麗央奈
 ジャン:安田佳音
 ノア:菊森さくや
この3人のバランス良かったなぁ。ぐいぐい前に出る斬り込み隊長レオナルド、真面目で大人しいノア、目立ちたいけど空回りするジャン。
レオナルド、ラファエロに胸ぐら掴まれるの羨ましい……あれはご褒美。

ハイエナーズの秘密
レオナルド「ウルが好き。──というのも、デリコ家にとりいって出世しようと思っている」(レオナルド本人は気付いてないけど、“恋愛的な意味”でもウルを好き、という秘密も役者個人で持っている)
ジャン「他を出し抜いて出世しようと思っている」
ノア「実はソフィのことをそれほど嫌いじゃない」
このバラバラ感〜〜〜〜〜!でもいつもまとまって一緒にいるの、思春期の学生〜って感じで良い。ラファエロの事をよく見ているからこその「あれ、血じゃないか?」「まさか……」みたいな台詞があるのもいい。

 

 

視聴制限というのはとても面白い試みだけど、それを成し遂げるためには演出家に対するこれまでの信頼とかが必要だろうと思う。ある種の正解とも言える何かが既にあることがわかっているのに、座組の中にそれを知っている人もいるのに、自分は知ることを禁じられる。もどかしいし、イライラするはず。不安にもなるだろう。
草野さんが重度の繭期であるという点はもとより、それでもこれをやれば芝居が面白いものになるんだと座組みんなが同じ方向を向いていたから出来ることなんだろうな。客演の方も含めて、いい劇団だなぁと思った。

 

 

HORIZONさん、衣装展とトークショー、通販ショップやるってよ!
制限されていた情報を順次履修したあとのトークショー……わぁい、しんどみ。オタクの見たいもの見せてくれるHORIZONさんすき(すき)演出は燃やされるのかな……とても心配ですね……
パンフの衣装解説よかったので気になる方はゲットすると良いですよ!

 

 

 

 

 

 

さて、シリーズ宣伝のコーナーです。HORIZON版TRUMPから興味を持った方がおられましたら、是非、このシリーズ10周年という記念の年に!足を踏み入れていただければ何よりです。シリーズ知った上で思い返すHORIZON版TRUMPもねぇ、しんどいっすよ……(褒めてる)衣装展トークショーを全力で楽しむために、いかがでしょうか。
以下、ただの繭期による個人的な視点からの宣伝です。

・『TRUMP』2009年、2012年、2013年、2015年
今回上演された脚本は2015年のNU版なので、是非こちらの本家も見てほしい……NU版からシリーズ展開を意識した脚本にブラッシュアップされていて、役者は全体的に平均年齢高め。初演時コンセプト「中年俳優による擬美少年化芝居」に回帰したかも。音楽室でのお歌が上手い。Amazonでは取り扱いがないのでナッポスユナイテッドの公式ショップからどうぞ。

nappos.shop-pro.jp

nappos.shop-pro.jp


等身大の繭期、こと2013年のDステ版は今をときめく?志尊淳、山田裕貴etc.も出演している(BD版だとT/Rの配役をさらにシャッフルしたMARBLEダイジェストも収録)ブラッシュアップ前の脚本、ギャグ多め、故に台詞の変化とか見ると興味深い。とりあえず見てみたいという場合にはニコニコチャンネル(月額324円)もあります。

Dステ12th『TRUMP』Blu-ray
 

sp.ch.nicovideo.jp


2012年の再演はREVERSEとFEMALE(全員女性版、設定も微妙に違う)が少しだけYouTubeで見られるので興味があれば是非。


TRINITY THE TRUMP -reverse- 【冒頭部分】


TRINITY THE TRUMP -female- 【冒頭部分】


・『LILIUM─少女純潔歌劇─』2014年
TRUMPのあとに是非とも見てほしい少女たちの物語。リアル繭期ともいえる年齢のアイドルが演じた、シリーズ屈指の名作。これを、アイドルに演じさせる、その残酷さときたら……!歌と踊りが本業のアイドルによる歌劇。全円スカートのひらみは最高。
『LILIUM感謝祭』というLILIUM振り返りトークショー&書下ろし新作短編演劇『二輪咲き』&劇中歌ライブが収録されているDVDも存在するのだが、こちらは完全受注生産のため現在は入手不可能。是非、お近くの繭期にお声掛けください。

 

・『SPECTER』2015年、2019年
萬里の話です!なんであんなに鴻野萬里がソフィに優しいのか、彼の歴史も見てほしい。再演のキャスパレがあまりにも、あまりにも良い……両方を見比べるとまたエグかったりすんですよ某台詞とか……あと某キャラの生死とか……

 

・『グランギニョル』2017年
SPECTERの裏で起こるデリコ家の事件。若き日のダリ卿、そしてアンジェリコ様のお父上であるゲルハルト卿も出てくる。圧倒的な美の暴力。は〜〜〜〜〜……しんどみ。でも絶対見てくれ。

 

・『マリーゴールド』2018年
LILIUMにも出てきた少女と関係する、母と子の話。ソフィ、ウルも登場する。マリゴソフィはDステ版Tウル/Rソフィを演じた三津谷亮。元宝塚雪組トップコンビの壮一帆・愛加あゆの出演に界隈も沸いた。油断してたら開幕5分で殴られた思い出。


・『COCOON 月の翳り星ひとつ』2019年
11月に円盤が出ます。ラファエロとアンジェリコの友情と決裂を描いた「月の翳り」、TRUMPのウルの視点で描かれた「星ひとつ」、シリーズ10周年のひとつの区切りの作品。事前にあらすじも配役も公開されないという仕様のため、Twitterでは様々な隠語が飛び交いネタバレ防止策を図っていた。しかし演者には大体筒抜けである。ところでこんな実験は、こんな悲劇はもう二度と繰り返さないでほしい……(ネタバレ配慮で本番衣装での個人ブロマイドが出なかったの、ビジュアル最高だっただけに本当に悔しい)
ちなみに月の翳りには藪からキュート(隠語)な子がいましてね。めっちゃ推してます(宣伝)

 


あと末満さんの公式チャンネルに課金するとパンフに掲載されたシリーズ短編小説が読めたり、公演後にぶっちゃけられる裏話(しんどい)が聞けたりするのでよろしくお願いします。本当に、しんどい。それをこんな酒呑みながらのニコ生裏話で済ませられちゃうこともしんどい。水晶の柩とか売ってないで公式設定資料集出して貢がせてほしい(聞いてるか偉い人〜〜〜〜〜!!!)

sp.ch.nicovideo.jp


良い繭期を!